成長株投資

企業のウェブサイトで成長株投資のヒントを得る方法

会社の存在をアピールする方法は数あれど、現代社会においてウェブサイトで自社をアピールするのは有効な方法の1つです。ウェブサイトには載せられる情報量に制限がなく、いくらでも自社をアピールする情報を載せることができます。

ウェブサイトは企業の自己紹介

新型コロナウイルスで対人コミュニケーションが少なくなっている今、以前にも増して上場企業はウェブサイトの構築に力を注ぐことが求められるようになっています。そこでこのページではどのように企業のウェブサイトから有望な投資先を見つけるかについて解説します。

必ず提出する法定開示資料、サービスとしての任意開示資料

株主目線で投資判断に役立つのは法定の開示資料や任意開示資料です。法定の開示資料というのは金融証券取引法により金融庁や財務局に提出することが求められているもの、そして、東京証券取引所に提出が求められている書類のことです。

法定資料の中で、もっとも力を入れていのが「有価証券報告書」です。年1度の本決算についての状況を詳しく開示しています。それよりも少しボリュームを落とした報告書が四半期ごとに作成する「四半期報告書」です。

どちらも法定資料ですが、有価証券報告書作成時には、監査法人(監査の資格を持った公認会計士が勤務する法人)が財務諸表に全体として重要な虚偽の表示がないということについて合理的な保証を得るための監査をしてくれますが、四半期では監査をしてくれません。

・監査法人とは

監査法人による監査についてご存じない人もいると思いますので簡単にご説明すると、上場企業では外部の監査法人が定期的に会社内部の資料を見て、適正に決算が作成されているかどうかを確認します。

なぜこんな性悪説を前提とした制度ができたかというと、200年以上歴史はさかのぼるのですが、外部の監査を受けずにいい加減な決算書類をつくって投資家を集め、結果として投資家に大損させたことがあったからです。

決算短信を確認する

さて、法定開示書類にはそのほか東京証券取引所が、上場企業に対して作成を義務付けている「決算短信」というものがあります。これは投資家にタイムリーに会社の状況を開示するよう上場企業に義務付けることで、投資家に安心して投資してもらおうという証券取引所のルールです。決算短信と書いてありますから短いのかと思いつつ実は重要な情報が含まれています。

・重要なことや都合が悪いことを隠せないのが上場企業

さらに上場企業は、東京証券取引所に対して会社の経営状況に著しい影響がある事実が発生した、または決定した場合にはそれもタイムリーに公表しなければなりません。地震が発生して工場が壊れてしまった、新型コロナウイルスの影響で営業を停止した、株式分割をした、配当を増やすことを決定したなどの事実についても速やかに公表することが義務付けら
れています。

厳密に言うと、これらを企業のウェブサイトに公表することは義務付けられておらず、EDINET(有価証券報告書・四半期報告書・臨時報告書)や適示情報開示サービス(決算短信)といったプラットフォームに情報を載せることが義務付けられているのですが、多くの企業が投資家への情報提供を目的として自社のウェブサイトにもこうした法定資料を掲載しています。

二流投資家は決算説明会資料から見るべき

企業が開示するのは、こうした法定資料だけではありません。法定資料というのは様式が定められており、役所や取引所に提出するものなので内容がオカタイのです。色使いも基本はモノクロでビッチリと活字で説明されています。

慣れてくるとどこに注目して読めばいいのかがわかってきますが、何十ページもあって初
心者には難しいと感じるでしょう。たとえば、スタイリッシュなイメージで海外通販を展開しているエニグモでも有価証券報告書は80 ページ以上、文字がびっしりと詰まった報告内容になっていました。

たしかに、有価証券報告書等の法定開示資料に記載している事実を知っていれば投資に役立つことは間違いありませんが、すべての株主・投資家にそれを求めるのは酷な話です。私も投資先企業の有価証券報告書をすべて読み込んでいる訳ではありません。

そこで、もっとわかりやすく、より多くの株主・投資家に株式を保有してもらおうという観点でつくられたのが「決算説明会資料」です。理解度を助けるために図表が用いられており、色使いも鮮やかで最初はこちらのほうが読みやすいでしょう。

さらに会社によっては「株主通信」といった名称で、株主向けの短いパンフレットを作成している企業もあります。これは、もともとは株主総会関係資料(招集通知や決議通知)、配当金計算書などと合わせて封筒に同封されているものですが、ウェブサイトで確認できることがほとんどです。

目的によって企業はウェブサイトを使い分けている

こうした資料を掲示するサイトは、「コーポレートウェブサイト」と呼ばれています。サービスを提供するサイトとコーポレートウェブサイトはそれぞれ目的が違うので、分けている会社が多いのが特徴です。
サービスを提供するサイトは消費者を相手にしているのに対して、コーポレートウェブサイトは取引先や投資家などが閲覧することを想定してつくられています。ただ、イメージではなく事実を知りたい人が見るため、内容が比較的固いかもしれません。

たとえば、エニグモを見ると、そもそもメインのサービスは「BUYMA」事業で、BUYMA のウェブサイト(サービス用のサイト)はコーポレートウェブサイトとはまったく独立しています。こうした資料を上場企業の経理部・総務部・経営企画部が四半期ごとに作成しています。

どれが正解ということはなく、会社によってウェブサイトの構成は異なりますが、内容の充実に加えて見やすさも大切です。企業イメージなどを考えながら、情報発信手段として活用しているかを総合的に見ていきましょう。

ウェブサイトで注意してみること

そのほかに、ウェブサイトでどのような点に留意してみたほうがいいのでしょうか。
まずは、会社のメッセージと顔写真が載っているか、好印象を持てるかというのを確認してみてください。上場企業の社長、とくにオーナー企業の社長であれば顔を出して自らの言葉でメッセージを発信しているかを確認しましょう。

私の投資法は、オーナー企業に投資するというものですから、どのような方が社長として会社を経営しているのかを知ることは大変重要なのです。

メッセージを定期的に更新しているか

また、メッセージを定期的に更新しているかも見てみましょう。最近では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため従業員の安全を確保しながら、パフォーマンスを落とさず働くための組織づくりが企業に求められています。こうした点について、留意しながら事業を拡大させていくかどうかがメッセージとして込められているかどうかも見てください。

あまりにも情報が更新されていないというのは、投資家目線に立ってウェブサイトが運営されていない証拠です。

それでは、一例を見てみましょう。Hamee やエニグモを例に取ると、いずれも代表者がカジュアルな恰好で写真に写っています。社長がこのような恰好で写るということは、スーツを着て仕事をする環境ではないということ、そして社長が40 代ということは、若い社員が多いのだろうということが想像できます。

逆に、写真が掲載されていない会社は要注意です。とくに、オーナー企業を狙った投資であればなおさらです。顔写真が掲載されていない会社は投資対象から外してしまっていいでしょう。

会社説明会資料で会社のことを調べてみる

次に会社説明会資料が載っているか。これは先ほど説明しましたが、会社説明会資料というのは、わかりやすく会社がつくった資料で、株主や投資家へのサービスです。あなたが詳しい業界ならばいいですが、詳しくない業界であれば、まずはわかりやすい資料から読んでいって理解を深めていきたいもの。

とすれば、このような資料があればより多くの投資家が理解しやすくなります。
一点注意事項があるとすれば、この資料は会社側の意図が色濃くでた資料になりがちだということです。都合が悪い情報は巧みに隠して、都合がいい部分を強調したつくりになっています。有価証券報告書や決算短信ではそこまで露骨なことはできませんが、会社説明会資料を見る際には注意が必要です。

たとえば、「3年連続で増収増益!」と書いてあるものの、よく見ると今期の利益は手もとの有価証券を売却したことによって得られた特別利益が半分を占めていたということがあります。前年度よりも少しだけ利益を多く出すために、そうした調整をしている会社というのは意外に多いものです。

自社業務をわかりやすく説明しているかどうかも大切なポイントです。一般の個人投資家は素人で、その業界の会社に務めていない限り、ことを知る機会はほとんどありません。本職のアナリストやファンドマネジャーではないのですから、改めて勉強するのも面倒くさいものです。

会社説明動画でその会社の事業を知る

こうした個人投資家に少しでも会社のことを知ってもらおうとして、最近では業務の説明動画を用意している会社もあります。
Hamee (3134)のコーポレートウェブサイトを見てみてください。同社の主力業務である小売り事業(スマホケース等)とEC プラットフォーム事業(ネクストエンジン)の説明が数分間の動画にまとめられています。

動画ページのスクリーンショット

もし、これらの説明を見ても業務内容がわからない、または興味がわかないということであれば、その段階で投資する必要はありません。投資の機会はいくらでもありますし、わかるようになってから投資すればいいのです。

新卒向けの採用特設ウェブサイトを確認する

新入社員向けの特設ウェブサイト(採用ページ)を見てみるのもいい方法です。新入社員の年齢は22 歳前後で、新卒採用はそれよりも少し若い20 歳ぐらいの若者が見ることを想定してつくられたページです。

彼らの知識は社会人経験を積んでいるあなたよりも当然少なく、わかりやすく作成しなければ興味を持ってもらうことができません。自社の魅力をアピールして少しでも優秀な学生に入社してほしいという想いは企業の人事担当者共通の願いです。

ですから、学生向けに作成されたウェブサイトには、企業がどのように業務で社会貢献しているか、また、20 代社員がどのように働いているかという姿を見せて、会社で働くイメージを持ってもらおうという意図で作成されていることが多いのです。

もちろん、これも都合が悪い事実は伏せられています(年功序列で給料が上がらない、掲載されているような仕事は一部の職員しかできない、自分の好きな仕事はできない、自律的なキャリアは積むのが難しい、働かないのに給料をもらっているおじさんがたくさんいるなど)。それらの事情は、割り引いて見るのがいいでしょう。投資候補の会社のことを知るという意味で採用ページを閲覧してみてください。

ウェブサイトの構成が時代に合っているか

今やスマホで投資情報を調べるするのが当たり前の時代ですから、会社側も投資家がスマホでアクセスされることを念頭に置いて作成しています。PC からのアクセスであればPC 用の画面を表示し、スマホからのアクセスであればスマホ用の画面を表示する。

当たり前ですが、こうした見やすいサイトになっているかどうかを確認してみてください。定期的に訪問することで、株主や投資家目線でウェブサイトがアップデートされているかもチェックするといいでしょう。

いつまでも古臭いウェブサイトにしたままだと、その時点で悪い印象を与えかねませんが、それを放置している会社は投資対象から外したほうがいいでしょう。

定期的にウェブサイトを訪問する

投資している会社、これから投資を検討している会社のウェブサイトは定期的に訪問しましょう。継続してウェブサイトを見ることで、情報が更新されているところ、変わっていないところがわかってきます。

いつまでもリニューアルしていないと、会社としてあまり情報発信に力を入れていないという感想を持ちます。投資家は外部の人間なので、企業が発信する情報以上のことはわかりません。

そんな会社あるのか、とおもわれるかもしれませんが未だに決算説明会資料を作らず、説明のための動画を作らないという会社もあるのです。

もちろんその情報に加えて自らの経験、知恵をフル動員して投資するわけですが、情報源としてのウェブサイトが更新されていないと、こちらも知識をアップデートすることができません。

最低限の情報、法定開示資料はさすがに掲載している会社がほとんどでしょうが、私はそれ以外の情報が適宜アップデートされているかを確認しています。

四半期決算ごとにウェブサイトを確認してみるべき

では、どれくらいの銘柄についてウェブサイトを見てみるといいのでしょうか。実はウェブサイトは、一度見れば資料が更新されるペースはそこまで頻繁ではないので、考えているほど大変ではありません。こうした行動はすべてを投資に結び付けて考えるという訓練にもなります。

定期的にウェブサイトを確認することは、頭を定期的に投資家モードに切り替えるという意味でも有効です。力を抜いてリラックスして、気持ちが向いたら時々閲覧する。四半期決算と合わせて確認するぐらいの気持ちでいきましょう。

 動画もチェックしてみよう

ウェブサイトを確認するということもそうですが、数字だけではわからない会社の個性、会社の儲けの秘密をどうやって探すために動画は有効な情報収集手段です。

投資家の企業チェックは医者の診療に似ている

数字に表れない情報を探るのは、いわば医者の診察と似ているかもしれません。

お医者さんは、心電図、採血、CT スキャン、採尿などで血糖値、コレステロールといった健康に影響がある数値が明らかになり、それをもとに健康状態を確認するだけでなく、実際に患者さんに病状を聞く、触診、聴診器で脈を確認したりして病気の原因を探っていますよね。

これを投資に当てはめると、財務指標や経営上の重要な数字(KPI: Key Performance Indicator)を確認するのは数字で会社の経営状況を確認する作業。動画ではさらに、経営者はじめ関わる人たちが力を発揮して働いているか、なぜこの会社は利益が出るのかなどといった秘密を自分なりに探ることです。

動画では、文字情報だけでは伝わらないことがわかってきます。先ほど1枚の経営者の写真からでも様々なことがわかると述べましたが、動画となればさらに多くの情報が得られます。

ただ会社の公式情報の動画は、エンターテイメント性もありませんし、多く動画が上げられているわけではありません。見る人も少なく3~4桁程度の再生回数です。

会社の公式情報で勉強する人が意外に少ないので、投資家として他人と差をつけられる部分です。動画からも会社の概要をつかんでみてください。

まとめ

このページではウェブサイトを見る際にどのような情報を確認するのか、についてご説明しました。我々が得る情報は会社が開示する情報が基本となりますから、なるべく多くの情報を確認することが大切です。

よりわかりやすいウェブサイトで会社のことを知ってもらおうという姿勢がみられる会社は、投資候補に入れやすいです。

投資するにあたっては、財務情報はもちろんのこと、ウェブサイトから得られる様々な情報を確認して、投資に役立てましょう。

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