出版体験記

私も信じられません。でも商業出版できたんです!

一介の個人投資家である私がなぜ商業出版をすることができたのか。これを読んでいる方の中には、出版に興味がある方がいらっしゃるかも知れません。

そこでこのページでは、私がどのように出版のチャンスをつかんだか、そしてどのようにして執筆作業を進めて、出版に至ったのかの体験談をご紹介します。

あるサラリーマンが商業出版を果たした経緯を、ご一読いただければ幸いです。

全体的なスケジュール

具体的な話の前にどのように企画の持ち込みから出版までのスケジュールが決まるのか、私のケースを振り返ってみます。

2020年6月 企画書提出
2020年7月 編集者と顔合わせ
2020年7月 企画書再提出
2020年8月末 企画書が出版会議を通過、出版決定
2020年9月上旬 編集者と会議、項目出し
2020年9月中旬 執筆開始
2020年10月末 著者初稿提出
2020年12月中旬 編集者チェック終了
2020年12月末 著者第二稿(最終稿)提出、資料提出
2021年1月上旬 著者最終チェック終了
2021年1月中旬 出版する本が手元に届く
2021年1月22日 全国の書店で発売開始

 

最初の企画段階から大体6か月ぐらいが経過していますね。特に9月から10月末、そして12月の3か月間に集中して作業をしています。

 

出版社の編集者を紹介してもらう

それでは、ここから私が出版体験を振り返ります。

実は出版をするなど考えたこともありませんでした。私の場合は、主催している株式投資セミナー参加者のなかに、出版編集者にコネクションを持っている人(Wさん)がいました。

Wさんはいろんな仕事をやっているようですが、その一つに出版社関連の仕事も10年以上やってきていたようです。その関係で過去に何冊もプロデュースしてきたのもあり、今回の本でも、信頼関係のある出版社の編集者へ取り次いで助言をくれました。ここまでありがたいことに、トントン拍子ですすみました。

事前に企画書のたたき台を提出

フォレスト出版の編集者の方にお会いするにさきだって、私は企画書のたたき台を作成しました。以下が私が実際に、最初に作った企画書の案です。

 

出版は初めての経験ですから、当然企画書をどのように構成するのか知りません。しかし、こちらもいい年の社会人です。知らないからできない、は言い訳になりません。Googleで検索してそれらしきフォーマットを見つけて作成しました。ここを突破すれば、出版が見えてきます。

私の頭の中にあるアイディアを羅列しただけの内容でしたが、これを基に編集者の方、Wさんと3人で打ち合わせすることになりました。

紹介者と編集者の信頼関係が企画の後押しになる

Wさんは、多数の視聴者をかかえるメディアを運営しており、これまでにも視聴者層向けの本を複数プロデュースしています。Wさんがかかわった著作は売れ行きがこれまで好調だったので、今回の出版についても売れる見込みがあると判断してくれたのでしょう。

言いたいことがあることは本を書くうえでとても大切なことですが、出版社側からすればそれは当たり前の話で、売れるかどうかというのが出版にGOサインを出すかどうかの判断基準になってきます。

編集者と顔合わせ

都内の某レストランで顔合わせしました。私の名刺をみて担当の方は私の勤務先を知っていたようで、少しだけこれもプラスポイントだったのかもしれません。

ミーティングは和やかな雰囲気で進みました。一緒に同行した紹介者のWさんが何冊も商業出版を既にプロデュースしている方だったので大変心強い。

その際に、出版社の編集者から同じ株式投資をあつかった既刊書籍の売上げを見せてもらいました。私が今回執筆しようとしている株式投資の本は、コンスタントに売れるようです。全国の本屋は紀伊国屋の売り上げを見て発注をどれくらいかけるかどうかを決めているというのも初めて知りました。

オーナ―に注目、成長株と配当株の組み合わせ、二流投資家という点が評価される

編集者の方には、企画書の中でよかった点として、株式会社のオーナー企業に注目して投資すること、二流投資家というキャッチフレーズを挙げていただきました。

編集の方からは、「この企画書案で基本的にはOKです。あとは今日話したことを少し加えて練りなおした企画書を用意してください」との連絡をいただきました。

そこで、前回作成した企画書を少し修正し、編集の方に7月上旬に渡しました。

出版社の経営会議で出版プレゼンテーションをお願いする

ここから先は、8月末までしばらく時間がありました。出版の業界というのは様々な理由で出版の話が流れてしまうことも多いらしく、少し不安になったりもしましたが、話が通れば幸運だという気持ちで、気軽に構えていました。

企画が通り出版が決定

編集者から連絡があり、出版が決まったとのこと。「やった!」と思いつつも、実感がわかなかったのも事実です。決まったらあとは、どのような内容にするか再度相談です。

時期は来年(2021年)の1月から2月になりそうだ、とのことでした。それより少し前に原稿を仕上げることになります。といってもいつまでに仕上げるのかはイメージがついていませんでした。

ZOOMミーティングで、記事の内容を頭出しする

コロナ禍ということもあり、編集者とのミーティングはすべてZOOMとLINEで行います。ミーティングでどのような内容にするかを打ち合わせしてから、さらには記事の内容について、それぞれのタイトルについて3行ぐらいのコメントを追加します。

この作業が3週間ほどかかり、出来上がったのが9月20日でした。

 

執筆を開始する

私は日中勤務しているので、夜に執筆のための時間を取るしかありません。夜9時から12時の間を執筆のための時間として使いました。はかどる日もあれば、はかどらない日もあります。一時間につき1000字書くとしても、100時間かかります。気負わず、でもサボらず書くことだけを心がけました。

10万字を目標とする

本を書くには当然それだけボリュームのある文章を書かなければなりません。目安として8万字から10万字程度が必要だといわれています。私の場合も、10万字を書きました。

10万字を書こうと思って取り組むと、最後までたどり着くことができません。2000字の文章を50個書くのだ、という気持ちで執筆しました。

出版までのスケジュールは出版社が決める

商業出版は自分のペースで書くものではありません。いつ発売というスケジュールを出版社側が決め、それから逆算して決まってきます。どうやら1月に発売ということがわかりました。

10月末に原稿あげる

のんびり書いていた10月上旬でしたが、まきが入ります。

自分のペースはありつつも、ここはがんばりどころ。原稿を仕上げて編集の方に見てもらえるところまで持っていけば、話は進みます。素人の私が原稿を仕上げなければ何も始まらないのです。

どうせ素人の文章です。あとで編集者に直していただくのです。もちろんできるだけ読みやすい文章を書いた方がいいに決まっていますが、締め切りの範囲内でやることです。とにかく10万字かく!睡眠時間が4時間程度の日も数日ありましたが、それでも必死に10万字仕上げることができました。

11月は編集者の編集作業がすすむ

11月の一か月は、私は何もアクションをせず。編集者の方は複数の本を同時に担当していますから、他の本の進捗状況により、私の分の筆入れ(書き直し)がいつ終わるかが決まります。連絡がきたのが12月中頃でした。10万字の原稿を7万5千字程度に見直していただきました。

プロからみて、いかに無駄な表現が多いのかがよくわかります。こんな機会、ほんとないなと思います。本来だったらお金を出してみてもらうものですからね。プロの添削は。出す前の文章と戻ってきた文章を読み比べることで勉強になりました。

特に指摘されたのが文章が長い、ということ。仕事ではなるべく文章を1文でつなげて書くのがよしとされているので、そのくせが抜けていませんでした。~であり、~とともに、~を勘案して、なんて表現ばかりを使っていたのです。

あとは、語尾を言い切るということ。誰が書いているのかはっきりしている文章なのだからその時点で一つのはっきりした意見です。~かもしれませんというのは客観的にそうかもしれないけれど、筆者が話すときは断定口調で話すぐらいでようやく相手にささる。

この修正をしていただいただけでも、お金には代えられない大切なことを学びました。

12月に入り本の作成がラストスパート

ここから一気に年末までの間ラストスパートがかかります。見ていただいた原稿を再度著者側でチェックします。また、カバーラフ、本のタイトル、著者肩書などもあわせてこの時期に決まりました。

カバーラフの作成、オビ表現など

こちらも出版社がこれまでの経験を活かして作成してもらいます。

これを素人の著者が作成していたらいつまでも終わりませんし、スッキリしたものにならないですね。以下が今回のカバーになります。

内容の最終確認とラフなイメージ図の提出

編集の方から原稿の修正に加えて、図表など必要な資料を提出してください、との依頼を受けました。不思議なもので自分が書いてから1か月もすると、全く自分の文章のような気がせず、第三者の視点で見ることができます。

夜修正作業をしつつ、図表を送ります。完璧な絵を書かなくても構いません。とにかくスピード命。出版社の編集部にはチームでデザイナーさんがいて、私が書いたラフな図をこのようにきれいに修正してくれるのです。多謝。

(私の描いたラフ図)

 

(デザイナーさんがイメージで起こしてくれた図)

みれば見る程なおしたくなるが、最終確認を終了

原稿は生き物で、見れば見る程修正したくなるものです。特に時間をかけてもう一度見てみると修正したい箇所がたくさんでてくる。無駄な表現、わかりにくい表現、カジュアルすぎる表現の修正、てにおは、などなど。この作業を1月3日にすべて終わらせました。

1月4日最終的な内容の確認

編集の方が直してくれたものを、もう一度読み直してどうしてもおかしいところ、論理的な接続がおかしいところだけをチェック。

これで本当に原稿はすべてあがり。私の手を離れました。まだ直したほうがいいのではないかと思うところも正直ありましたが、スケジュールが決まっている以上どこかで区切りがないとダメですね。

1月中旬:献本が手元に届く

前日に編集者の方から連絡があり、私あてに献本を10冊送付してくれるとのこと。著者は数冊、発売前の本をいただけるのです。

そして我が家に本が到着しました!

アマゾンでもページができている

そして、アマゾンでもページができています。すごいな。本当に本が売られるんだというのがすこしずつ実感できます。

本書執筆後の感想

最初の著書を書き終え、今まさに出版を待っているこの段階で思うことを何点か書きます。

金銭的には割に合わない

本を出すというのは大変な労力がかかる仕事です。10万字の原稿を書くことに加え、その後の修正を入れると優に100時間以上は執筆に費やすことになります。しかし、その過程で頭が整理されて、自分の主張が洗練されて話が上手になるというメリットがあります。

実現までのハードルは高いが、挑戦する価値はある

商業出版は出版社が売れる企画だと判断しない限り企画は実現しません。その意味で商業出版のハードルは高く、誰しもがすぐに出版できるわけではありません。しかし、自らの思いを伝える方法として、商業出版はとても効果的で、信頼性の高いメディアです。

本を書く前には、大量の文章を書きなれておくべき

私が最初の出版にもかかわらずスムーズに出版できたのは、ブログや投資復習用のレポートを大量にかいていたため、文章を書くことになれており、2か月弱という短い期間で執筆を終えることができたことも一因です。

どんなに企画が良くても、編集者が凄腕でも、著者が一定の速度で文章を書いてくれないとお話になりません。したがって、本を書こうと思っている人はとにかく文章を書きなれておくことが大切です。

以上が私の処女作「10万円から始めて資産を200倍にする小型成長株投資」(フォレスト出版)の執筆体験記です。この体験談が、本の執筆に興味を持っている方の参考になりましたら幸いです。