投資コラム

突然破たんする銘柄を事前に察知することができるのか

 

株式投資の初心者が投資をためらう理由の一つに会社が倒産する可能性が挙げられます。果たして株価の推移で事前に倒産する銘柄を見分けることは可能なのでしょうか。

結論としては、倒産する銘柄はその事実が明らかになる前に株価が100円を割っていることが多く、通常の株価であれば大きく心配する必要はないでしょう。

今回は詳しくこの内容について解説します。

株価が2000円、3,000円でいきなり倒産することはあるか

倒産する可能性がある銘柄を議論する前提として、ある程度成熟してる企業を念頭に置いてからお話をします。

多少の経営リスクを取りながら成長を目指す新興企業に投資する場合、倒産を考えることはあまり意味がありません。

倒産リスクが若干含まれているのが新興市場の成長株銘柄ですし、割高な株価が是正される過程で株価が1/5、1/10になってしまうことも珍しくないからです。

成熟した企業ということが前提で、株価がそれなりの値段をつけているということは、我々よりも判断力を持ったプロがちゃんと評価しているという事です。

そして、成熟した企業が2,000円、3,000円をつけているということは、一過性ではなく何年もの間、一株当たり利益で言えば50円から100円ぐらいの利益を上げ続けている銘柄でしょう。

そうした銘柄は財務体質も良い傾向、すなわち借金が少なく今まで事業で積み上げてきたお金が潤沢にありますから、当期赤字を計上したとしても突然倒産することはありません。

決算が予定通り発表されないのは危険な兆候

では株価が高ければそれで安心なのかというと、そうとはいいきれません。会社経営に現れる危険な兆候としては四半期ごとに会社が発表する決算が予定通り行われない、ということがあります。

株式会社は決算を締めた後、証券取引所に対して45日以内に決算短信を提出する必要があります。この決算が提出できなくなった場合は問題があるということです。

もちろん、2020年の3月のように、新型コロナウィルスの拡大に伴う自粛要請で多数の企業が、決算処理に時間をかけざるを得ない場合、個別銘柄でも過去の会計修正が必要となった場合など、理由が明らかな場合はいいのですが、不自然に決算がでるのが遅くなる場合は要注意です。

継続企業の前提に関する注記が付された銘柄も危険な兆候

その他、決算の監査をする際に、監査法人が継続企業の前提に関する注記を出したような場合は要注意です。初心者の方には聞きなれない言葉ですね。

これは、監査法人が企業の決算を確認するなかで、このままいくと会社を継続していくことが難しくなるような兆候が出ているよ、というサインを監査報告書に付するということです。

監査法人は、上場企業から依頼を受けて監査をしていますが、いくら上場企業からお金をもらっているからといっても、財務上の問題がある場合に指摘しておかないであとで会社が倒産でもした日には、監査法人の責任問題に発展します。

そこで、問題がある会社には株主・銀行に対して警告の意味を込めてこのような注記を付するのです。

株価が100円を割るとプロの投資家から見放されている証拠

他には、株価が100円を割るということも危ない会社の材料として挙げられます。

プロの機関投資家は100円未満の株は内部ルールで買えないことが多いです。株価が100円終わるような株価の会社は破たんする可能性がたかまっているからです。JALが破たんした時も次第に株価が下がっていきましたね。

100円以下の銘柄の中には、中外鉱業など短期投資家に好まれる銘柄がありますが、業績では買うことができず、材料で上下する株式です。株を動かす主体の思惑で上下するので、まともな機関投資家はまず購入しません。

突然死するパターンもある

しかし、以前中国ビジネスで失敗して破たんにおいこまれた江守グループホールディングスなど突然死するパターンもあります。ただ、この場合でも決算の提出時期が遅れていたという兆候はありました。

結論としては、破たんの可能性を次第に株価は織り込むので、次第に下がっていきます。その場合投資額は全消失です。

株式投資は有限責任

ただし、信用取引をしていない限り借金は残りません。これが株式投資の有限責任です。自分が払い込んだ資本以上の責任(借金)を負わなくてもいいのです。

事業を自分でやっていれば、次第に責任が限定されるようになっているとはいえ基本的には無限責任を負って事業をすることになるのです。しかし、他人のビジネスにお金を出す=株式投資はあくまで責任が限定されています。

別の角度から見れば、上場企業と取引している人は、企業の財産のみを信用して取引することになるのです。

だからこそ、上場会社の運営には、会社法、金融商品取引法、証券取引所の規則など守らなければならないルールが多数義務付けられているのですね。

まとめ

それなりに歴史がある企業が2000円や3000円ぐらいの株価で推移している場合には、その時点では倒産リスクはほぼないとみていいでしょう。

しかし、次第に株価が下がり出し、決算が遅延する、継続企業の前提に関する注記がつくようになれば、次第に危険性が高まります。株価が特に100円を割るようになれば、プロから見放されているという事になりますので要注意です。

 

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