成長株投資

資産が増えると守りの投資になる理由

株式投資を始めたころは資産を増やすことに夢があります。必死に貯めた100万、200万円が1,000万円、2,000万円に増えてくれればいいなと心から願います。1,000万円というお金は不動産の頭金としては十分なお金ですし、生活に潤いを与えるという意味でも役割が大きい。

しかし、それが大きく資産を増やしたいと思う人にとっては罠なのです。ここらへんでいいやという気持ちが、さらなる資産増加のメンタルブロックになる可能性があります。このページでは、資産が増えると守りに入りたくなる理由、それを防ぐ心構えについて解説します。

資産が増えると細かいことを気にしなくなる

20年間で使い果たすとしても毎年50万円、毎月4万円を好きに使えるのです。実際に資産を増やしてみるとわかるのですが、あまり細かい節約を意識しなくてもよくなります。私も資産がなかったころはスーパーにいってなるべく安いものを買いたい、セールの日にかいたいという行動パターンをしていましたが、今ではあまり意識しなくなりました。

もちろん高級品をバンバン買うということではなくて、毎月数万円のお金が入ってくるからその範囲内に収まるから、という考えに自然と変わります。毎月の出費は一定なので、そこをあえて削り込まなくてもいいという発想になります。節約をあまり意識すると生活が楽しくなくなってしまいますし。

そして、資産を増やすことに集中することから得られる成果のほうが次第に大きくなる気にしても仕方がないかなというのも理由です。一日に資産価値が数十万単位で変動するようになると、どうやって資産を増やすかのほうに関心が向いてきます。

資産が増えてくると守りに入りたくなる

さて、資産が生み出すパワーというのは大きいもので、日々のお金をある程度使えるようになると、これくらいでいいのではないかという弱気の虫が顔を出してきます。そしてそっとこうささやくのです。

「ここまで株式投資してリスクを取ってきたのだから、これ以上リスクを取って投資を続けなくていいじゃないか。たくさんの銘柄に分散投資して、安定した配当金をもらえるように投資方針を変えてもいいんだぞ。価格の値動きが心配な日々から解放されて楽になるぞ。」

確かに金額が増えてくると資産の増減が増えてくる。資産をこれ以上増やすつもりがないのであれば確かに配当金銘柄を組み込むことで安定性を享受しながら株式投資を続けることができますが、ここからさらに増やしたいと思えば守りに入りすぎてはいけないのです。

投資方針を見直してみた

最近私も投資方針を改めて振り返る機会を持ちました。そうすると資産が増えるにつれて投資する銘柄数が増えていることに気が付いたのです。なるべく増やさないで絞り込もうと思っていても、資金に余裕があるのでA株を100株、B株を100株で手付で買おうという形で銘柄数が増えてきてしまう。

昔は5銘柄ぐらいで集中投資と決めて進んでいたのに、複数の銘柄を買えるようになるとなるべく安全に行こうという気持ちが少し頭をもたげてきて、恐怖心をヘッジするために多数の銘柄を保有する。この過ちを自分は犯していました。

売買益を狙うという基本に立ち返れ

あくまで配当金狙いではなく売買益重視が成長株投資の醍醐味です。結果として配当金をもらうことはあっても配当金が安定しているから株を買うという順番で銘柄を選択すべきではありません。高いPER、そして決算前後で株価が大きく動くことも許容するのが成長株投資です。

中途半端になっていたということですね。そしてその中途半端さを生み出していたのは恐怖心にほかなりません。先ほどご紹介した悪魔のささやきは、資産が増えるごとに声が大きくなってきます。

実際に、目の前に資産があり自分がやりたいことができることがわかると、あとは純粋な数字との戦いです。資産を増やそうと思えば思うほど、このお金で家が買える、車が買えるという欲を捨てないと正常な判断ができなくなるのです。

投資方針がぶれるのが問題、守りに入ること自体は悪くない

誤解をしていただきたくないのは、ポートフォリオを保守的にしているということではありません。年配の方で資産が増えてくれば当然リスクを減らすこともあるでしょう。下落した際のリカバリーのための時間が残されていないのですから。

また、これくらい資産が増えればいいやというゴールを定めている人も途中でスピードを落とすのは正しい判断です。私も著書『10万円から始めて資産を200倍にする株式投資』で資産を2000万円ふやすためには、1000万円まではリスクをとって成長株中心のポートフォリオで資産を増やし、その後の1,000万円は配当金と追加の投資金額で無理なく達成するのが確率が高いと述べました。

ただ、私の場合はまだ成長株投資で行くべきと考えていたのに、絶対額に惑わされて最近投資方針が乱れていたのです。2020年10月から2021年の過去1年間のパフォーマンスはプラス21%だったのですが、ブレたからこの水準になってしまったことを反省しています。

弱気の虫は知らず知らずに

心境の変化は一瞬ではなく緩慢にやってきます。資産を順調に増やしていた時と同じ気持ちを保ち続けるのがこんなに大変だとは気が付きませんでした。

証券会社の口座残高はゲームの通貨にしか過ぎない。お金で何ができるか考えだすとおかしくなる。増やしたお金は運用をしている間は手を付けない。拙著でも述べたことですけれども、改めてこれを胸に刻んでここからの一年を立て直していきます。

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