書評

「FIRE 最強の早期リタイア 最速でお金から自由になる究極メソッド」(クリスティー・シェン&ブライス・リャン/ダイヤモンド)を読む

FIREという言葉をご存知でしょうか。Financial Independence Retire Earlyの略で、早期リタイアを意味します。この本は中国出身の筆者がカナダで生活し、幼少期の極貧時代、そして社会人としての中流時代を経て、金銭的自由を獲得した筆者が早期リタイヤについて余すところなく語っています。以下、本書の書評をいたします。

早期リタイアは誰でも可能性がある

筆者の主張はシンプル、収入よりも著しい支出を維持してお金を貯め、インカムゲイン(配当金)を生み出す資産を構築する。どんな経済状況においても、およそ4%の利回りは期待できるので、年間の生活費用に25倍をかけた金額があれば理論上リタイア可能というものです。

さらに、数か月間の生活費用として予備資金を持っておく、先進国ではなく物価の安い地域(東南アジア)に旅行する、副業をする、本業に復帰できるスキルを維持しておくといった何重にも防波堤を備えておくことで、安定的に早期リタイアすることが可能であることを主張しています。

まずはお金を貯めるのが大事

やはりお金を貯めるということに特別な近道はなく収入と比べて圧倒的に低い支出で生活するというのは全てのキモです。

これは筆者だけではなくて、「隣の億万長者」の著者である、トマス J スタンリーもこの主張をしています 。

貧しい体験をしているとお金持ちへの渇望がたかまる

貧しい体験をしていると著しくお金の渇望が強まります。芸能界で一流まで上り詰めた人には幼少期著しく貧しかったという人が結構います。少年隊の東山紀之、モデルのアンミカ、ローラ、上戸彩など、今では考えられないほどの貧しさのなかで幼少期を過ごしています。

芸能界は、生き馬の目を抜くような厳しい社会。どんなことが起こってもへこたれない精神力は、幼少期の経験が原動力になっているのかもしれません。逆にとてつもないお金持ちの子息というパターンもありますね。

さて、本論に戻ります。筆者は、お金が著しく足りないという経験をしている人の方が、将来的にお金持ちになりやすい素質を持ち合わせていると主張します。

実際にはお金持ちの子供がお金もちになることもあるでしょう。ただし、貧乏人のお金に対する考え方は、中流階級以上のそれとは違います。贅沢はできなくとも、必要なものがいつでも必要な時に全て買うことができないのです。

家賃・食費・水道光熱費といった、生きていくうえで不可欠な費用まで切り詰めなければ生きていけない。どれを買うかということを選択しなければならない環境で育った人は、すべての必需品が揃った生活に憧れを抱きます。

さらに、貧しかった反動から物が欲しいという発想になりがち。筆者は幼少期を中国で過ごしていたようですが、当時の中国は物価水準も低く、家族の収入も低かった。ただ、筆者はそこでお金に対する渇望心を鍛えることができたので良かったと述べています。将来性こうした人からすれば、どんな苦しい出来事でも過去を正当化できる良い見本です。これが貧しいままだったら、とてもこんなこと言えないでしょう。

貧乏でお金がほしいという想いからか、単純に貯金が上手なのか方法論はさておいて、お金を貯めるインセンティブが強いというのは、お金持ちになるうえで大切です。

中国人の貯蓄性の高さは、政府への不信感の現れ

中国人は欧米人に比べ、お金を貯蓄する貯蓄率が高いということが紹介されています。これは過去の歴史において、政府が人民の見方であった時期が少なく、いかに搾取の対象とするかという対象としてしかみていなかったことの証左なのでしょう。

いざとなって政府を頼ることができないので、自分・家族・親族で何とかしなければならないという発想から、貯蓄率が高いと推論しています。よく中国のお金持ちはありとあらゆる手段を使って一族の資産を海外に分散させていざというときに誰かが当局につかまっても、一族として資産を守るという発想をもっていますね。

ミリオネアになるためには、極貧生活は不要

ここで筆者はミリオネアになるためには汚れた環境で生まれ育つ必要ないということを主張しています。現代日本においては、30年前の中国のような厳しい経済状況ではありませんから、収入から支出を引いた貯蓄で1年間で100万円、人によっては200万円貯めることは不可能ではありません。

これを数年間続けることで投資のタネ銭をつかむことが大事です。タネ銭をどうにかして貯めるというのは本当に、どの書籍でも共通して書かれています。そしてタネ銭を貯めるために、収入よりも圧倒的に低い支出で生活することの大切さも同じです。著者は、欠乏マインドが身についていると、よりたまりやすいと主張していますね。

Pay-Over-Tuitionという発想

教育とそのリターンを金銭的に判断するという筆者独自の考え方で、どのスキルを大学で習得すべきかを確認することを進めています。まさに、企業の投資と同じように投資効率から専門を選ぶということです。

平均値とその仕事で得られる年収、そしてその職を得るために必要な費用を割り算してそのスコアが高い、投資としては優れてるということになります。アメリカの場合ですので、医者や弁護士が余り効率が良くない(資格を取得するまでに高い費用が掛かる)と紹介されていますが、日本ではこの限りではありません。日本の実情を踏まえて考えることがだいじですね。

日本の場合は批判が色々ありつつも、終身雇用制度を維持している大企業で働き続ける人が多い。となると平均年収が高そうな会社にどうやって潜り込むかという点から大学を決めるのが正しいということになりますね。あれ、大人がみな子供に教えていることじゃないか。

必ずしも情熱は良い仕事には繋がらない

筆者が好きを仕事にするということを勧めていません。むしろ反対しています。まずは経済的に自立してFIREを達成してから、自分の好きなことを実現すべきと主張しています。自分がやりたいことがいくらあったとしても、他人が喜んでお金を払ってくれる商売でなければ意味がありません。

医者や弁護士のサービス、ITエンジニアのサービスは他人が必要としているスキルで、かつ供給が限定されているので、その職に就く人が高い給料をもらえるのです。

FIREを達成すれば、一般的には貧乏と思われる年収200万円、300万円の仕事に就くことも怖くはありません。この収入から生活費を出そうとすると苦しくなるけれども、FIREを達成している人は生活のほとんどをインカムゲインで賄うことができる状況になっています。

つまり、自分のやりたいことで稼いだお金は、純粋な可処分所得になるという発想です。私は今のところFIREを目指してるわけではありませんが、インカムゲインや副業の収入が増れば、今の仕事にこだわる必要はない。経験値を積むために、もっと面白い仕事を優先に追いかけてもいいという気持ちが強まるでしょう。

消費者ローンを借りている限りお金持ちにはなれない

借入金利が高いお金は是が非でも借り入れることを進めています。私はロバートキヨサキのキャッシュフローゲームで、同じことを学びました。

主人公は高い金利を支払う借金を持った状態でゲームをスタートさせるのです。そして、プレーしていくうちに、高い金利を消すことを最優先にプレーしないと、いつまでたってもお金が増えていかないということを体験的に学ぶことができます。

消費性向が高く借金することに抵抗の少ないアメリカにおいては、金利が高い借金をして、それに苦しんでいる人がかなり多いんだと想像されます。日本においても消費者ローンは金利は15%前後とかなり高い。

一方、住宅ローンは変動金利であれば1%もいかない水準です。住宅ローン減税で税金が還付されることをを踏まえると、ほとんど金利はゼロの状態です。

高い金利がついた借金は早く返済しなければ、そもそもFIRE、早期リタイアどころではありません。

人生は誰も助けてくれない、結局は自分しかいない

日本のサラリーマンが絶対覚えておくべきことです。日本のサラリーマンは、日常生活に追われてついつい見て見ぬふりをしがちです。稼ぐ方法を完全に会社に依存しているのです。しかし、お金の稼ぎ方は様々ですし、実際に実行可能です。

給与収入のほかに、お金を稼ぐ手段を複数持っておくことで、政府や会社に頼らないで生きていくことができます。これは福沢諭吉も「学問のすすめ」の中で書いていた通り、経済的自立が精神の自立につながる。お金という重要問題で首根っこをつかまれているから、強気に生きられないのです。

生活水準が上がっても、幸福感は元に戻る

私たちはうれしいことがあったとしても、次第にその状態を当たり前と感じてしまう。昇格すると給料が上がりますが、その喜びって一か月だけではないですか?翌月以降は増えた金額をもらえることが当たり前になってしまう。または、貧乏になったとしてもその状態にも慣れてしまいます。

働いて給料がいただけることのありがたみは忘れてはいけないのですが、どうしてももらえるのが当たり前になってしまうのは、社会人経験が長い人であれば皆感じていることです。

ですから、従業員にいくら給料を高く上げたとしても、その喜びはあくまで一時のもの。次第に幸福感が失われていき、モチベーションも元に戻ってしまう。仕事そのものにやりがいを感じていなければ、給料を上げてもモチベーションは上がらないのです。

ギリギリのところで設定されているのが給料

といって、給料があまりに安ければ他の会社に移ってしまいますから、そのギリギリのところで経営者は給料を設定します。さらに一度上げた給料水準は容易なことでは下げることはできません。ですから、ある程度経営に携わった人ならば、こうした労働者の心理状況を知った上で少ししか給料を上げてくれないのです。

物を持てば持つほど幸せの感覚がなくなり逆に経験家賃をいればどんどん精神的な豊かさを増すと主張しています私もそのように考えていて今はたくさんの本を読むことをさせてそれをアウトプットすることを中心にライフワークとしたいと考えるようになりました 

居住用不動産は投資効率が悪い

ローンを組んでマイホームを買うことは、あまり資産にならず儲からないという主張をしています。名目で値上がりしているように見えても、不動産ブローカーや国、管理会社に支払う費用がかかるので、実質的には余り儲からない取引なのです。

ただ、私はアメリカの不動産事情を知らないので、この点は評価できません。高所得者であれば、減価償却を多くとって節税することもできるでしょうし、価値が上昇する不動産もあるでしょうから一概には言えないはずです。

日本でも状況は同じ

ただ、日本においても共通していることは、よく月々の家賃と、35年の住宅ローンの毎月支払金額を比較をして、住宅を購入したほうがお得というのは時に間違っているということです。住宅を買う場合には、手数料を払わなければなりません。

固定資産税や都市計画税などの政府に払わなければならないお金もある。またマンションであれば、修繕積立金や管理費なども払います。こうした費用はどんなマンションでも必ず発生するものです。

筆者はこうした追加費用を勘案して、毎月の住宅ローンの支払金額が、家賃の1.5倍かどうかで購入決めるべきという判断基準を示しています。もっとも、自宅を購入することによって得られる幸福感、満足度が高いのであればこの限りではないでしょう。しかし、数字というのは冷酷に資産価格に反映されるということは覚えておくべきです。

自分でビジネスを持っていれば賃貸がいい

私の場合少ないながらも自分のビジネスをもっているので、家賃の一部を経費として計上できるので、賃貸でもオトクに住めています。

これは、自分のビジネスに関連していれば、家賃は経費として計上できるということです。私の場合、本を執筆、ブログやメルマガの執筆、セミナー資料の作成などを自宅の一室でしていますから、仕事をするために必要な経費として計上できるのです。

毎月5万円副収入で稼ぐ人がおり、家賃が12万円だとすれば部屋の一室、1/3程度を経費に算入することができます(状況によりますので、詳しくは税理士にご確認ください。これはあくまで一例です)。所得税や住民税が5割と考えますと、経費に入れた4万円分の半分、すなわち2万円安くすめたということになります。

賃貸が得か、購入が得かという視点のほかに、自分のビジネスを持つことでうまく節税することを考えるべきです。特にFIREで引退したあとに100万円、200万円という少額のビジネスを持っていれば、経費の使い方次第で節税することができますから、FIREを目指す人は節税についても知っておくべきです。

自分でビジネスを始めるということ

ビジネスにも様々なものがありますが、初期投資が多く、回収までに時間がかかるビジネスは成功するまでに力尽きてしまう可能性が高いです。私は金銭リスクの少ない文筆を副業としてやっておりますけれども、これとてすぐにお金が入ってくるものではありません。

しばらくお金が入ってこないと分かっていながらも、将来の成功を信じて続けなければいけないのです。私もこのブログを立ち上げて少しずつアクセスが増えてきていますがいきなりお金になると考えていません。

すぐにお金になることを期待しない

すぐに働いてお金がもらえるというのは、まさにサラリーマンの発想です。自分でビジネスを持つということは、お金や労働力という自分の資本を先に投下して、育てていくものなのです。最初から稼げるという目論見で始めるから失敗すると考えています。

それでも 人を雇って大きく育てるリアル店舗のビジネスよりは成功確率が高いのが、インターネットを使ったビジネスです。ですから普通のサラリーマンは定期収入があることをメリットとして、長期的にビジネスを作っていくのがいいでしょう。

早期リタイア者の投資先はインデックスファンド

インデックスファンドを全面的に筆者をしています。投資から何を求めるかということがかかわってきますから、一概に正解はありません。しかし、インデックスファンドを保有し続けることがひとつの正解であるということは、歴史が証明しています。

筆者も実際に投資信託を買うために、金融機関の窓口で営業員と会話した例を出していますが、金融機関というのはなるべく高い手数料をニコニコしながら受けるのが仕事です。

しかし、そのこと金融機関を責めるというのは筋違いというものです。彼らの仕事がそうであることは、このインターネットの時代すこし調べればわかることですから、消費者側が身に着けておくべき知識なのです。

株価の暴落とリバランシング

定期的に株式市場で暴落が発生します。信用収縮が起こり会社の将来性に対する期待がはげおちると、株価が20%30パーセントと下げてしまうことがあります。経済の信用拡大と縮小は資本主義の本質的な部分であり、ここから逃げることはできません。

筆者の選択肢としては、投資していた債券の割合を下げて株式を買い増すというものです。相対的に安くなったところで、株券を買いますことで将来のリカバリーに回す。

ただし、現在の投資環境においては債権の金利がほぼゼロの状態です。米国10年債でも1%も行かない水準です。したがって、債券をポートフォリオに加えておくべき、積極的な意味を個人投資家にはありません。債券に投資するのであれば、現金で保有しておけばいいかというのが私の考えです。

4%ルールで早期リタイアは95%うまくいく

95%の確率で4%ルールに基づいてリタイヤまでの期間を逃げ切ることができるということです。これはポートフォリオの資産が減ったとしても、インカムゲインと予備の現金をほゆうしておくことで、FIREをつづける確実性を高めています。予備の現金は普段は手をつけず、ポートフォリオが下落した時に言えば追加証拠金のような形でポートフォリオに差し入れます。

そうすると見た目のポートフォリオの金額が減らない。100万円のポートフォリオが95万円になったときに予備としても持っていた5万円をその100万円のポートフォリオ95万円のに加えることで100万円に戻してあげるという発想ですね。

そして、相場が戻ってくればまたその5万円のお金を予備資金に戻すのです。生活費用はインカムゲインから賄っていますから、この5万円を差し入れることでFIREを続ける可能性を高めるのです。

私の場合は常に一定の現金を保有しています。やはり何が発生するかわからないので全部全力で投資するというのが難しい。

お金持ちになってしまえば保険はいらない

お金持ちになれば生活費用は、インカムゲインから賄われます。仮に働けなくなったとしても、インカムゲインはせっせとあなたの銀行口座にやってきます。ですから、一度FIREを達成すれば、もはや保険は不要になります。

恐怖心というのは人をかなり強く伝えするのですから、保険業界では人々の恐怖心を様々な形であおりながら、消費者に保険のメリットがあることを伝えます。

日本においては、サラリーマンであれば健康保険組合からの支援もありますし、高額療養費制度もありますから過度の保険に入る必要というのは実はあまりないのですが、いいようもない恐怖というのは理屈を超えたものです。

恐怖心を刺激するような CM も浴びるように見ること、そして他の人が保険に入っていることも手伝って、ついつい加入してしまう。保険に入ったはいいけれどどんな保証がされるのかを知らないという人は多いです。

保険に入らないと資産構築のスピードが加速する

保険に入る人と、その分を投資に回す人では、資産構築のスピードが違います。毎月2万円、3万円のお金が大きな違いになるのです。保険はあくまで保険ですから、よくてトントン。通常はその価値は減っていきます。

一方投資は増える減るどちらの可能性もありますが、どちらかというと長期的には増えていく可能性が高い。私が株式投資でしさんをつくれたのは、まさに他の人が保険に振り分けているお金を株式投資に振り分けてきたからにほかなりません。

子供の教育について

本書の終盤では就学期の子供を抱えて、早期リタイアできるのかという問題点があります。教育費の問題以外に、生活場所を変えながら暮らすということが子供の成長に悪影響があるのではないかと懸念するのは当然です。

筆者の主張では、インターネットをつかって教育をうけることで既存の教育プログラムの代替になるし、集団生活に慣れず社交性が身につかないというのは、実際は心配しなくていいと述べています。

リモート環境で勉強・仕事するのが一般化してきた

ここまで大胆な発想が日本で受けいれられるかどうかはわかりません。しかし、最近では大学でオンライン授業が始まり、会社でもリモートワークが推奨されています。もはやいつも顔を合わせて勉強する、仕事をするというのは過去の話になりつつあります。

この本が書かれた時点よりも、よりFIREが無理なく導入できる環境が近づいてきたといえるでしょう。私の見立てではあと10年もすれば、義務教育の段階からオンライン授業が浸透するために、より多くの人が、幅広い選択肢から教育を受けられるようになるはずです。

まとめ

早期リタイアへの現実的な道筋を具体的な数字で示しており、その道を進む人にとっては、目標を達成する手助けとなってくれるはずです。また、完全な早期リタイアではなく、時々働くこと、予備の現金を保有すること、インカムゲインの範囲内でできる生活水準でくらすこと、生活コストがやすい国で短期滞在を繰り返すことにより、早期リタイアは実現できるのだという主張は一定の説得力があります。

私にとっては、海外で暮らすことでコストを下げるという発想は意識していなかったのですが、実際に私の知人でもマレーシアに移住して、所得はそのままに優雅な生活をされている方を知っていますので、実現できるのだということが頭の中によりリアルにイメージすることができました。

人生は思っているよりも自由だ、不自由なのは貴方が頭の中で作り上げている人生のイメージにこだわっているからだというメッセージをもらいました。

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