その他

かわいそうなふりをしている人と、かわいそうな人は見分けがつかない

緊急事態宣言が発出されている現在、小型飲食店を経営されている方には局地的なバブルが生じています。

小型飲食店の方は笑いが止まりません。何せ政府の要請に従って営業をやめる、または営業時間を短縮する方が、営業するよりも儲かるという事態になっているのですから。一日6万円の利益を得るためには、一日20万、30万という売り上げを上げなければならないのです。

また、緊急事態宣言が延長されるということで、もう少し長い期間、補償金が配られる目もでてきました。今頃こっそりと旅行の計画でも立てているはずです。

必ずフリーライドする人がでてくる

かわいそうな人を救おうとすると、かならずフリーライドする人が出てきます。東日本大震災に建築業界でも壮大なバブルが発生しました。

今回の補償も制度で認められるのですから、もらえる人は当然の権利として受け取ればいいのです。

しかし、普段であれば様々な条件を付して本当にもらえる人を限定するところ、こうした状況では迅速さを優先するために一律給付となりますから、本当に必要な人だけをふるいにかけることはできません。

生活保護の支給基準が緩くなったようなもの

一例として生活保護を挙げてみましょう。生活保護をもらう権利は、憲法で保障されていますからいざというときは何人も生活保護のお世話になることができます。

しかし、それは簡単に生活保護を受けられるということを意味していません。生活保護を受けるには微に入り細に入り私生活を聞かれ、血縁関係を聞かれ、頼れる親戚はいないのかをチェックされます。

申請を受け付ける市役所の職員も、不正の可能性を疑いながら審査しなければなりませんし、全体の予算も決まっていますから簡単にハンコを押す訳にはいきません。本当は申請する権利があるのに、手続きが大変だと勘違いしてもらえない方もいらっしゃいます。

何が言いたいかといいますと、現在はいわば小型飲食店向けの生活保護が無条件にもらえる状態になっているということです。

本来であればもらう権利のない人も、新型コロナウィルス禍感染拡大より前から商売をやっていて、夜8時にお店を締めさえすればもらえるのです。

お役所はどこまで行っても形式主義

お金が必要な人と、お金が必要ではないけれどもらう権利がある人を見分けることはお役所にはできません。彼らにできるのは条件を細かく設定してより必要な人に届くように制度設計することだけです。

迅速性を優先すれば、当然困った人だけに行き届くような制度にはなりません。1人をターゲットにしているのに、10人に配っているような状況です。

世論の変化はなし

緊急事態宣言と経済的な補償はワンセットです。ただ、いつまでもこの緊急事態宣言プラス保証というのを続けるというわけにもいかないでしょう。これ以外で苦しんでいる業界もあるわけです。

Goto トラベルキャンペーンもそうですし今回のいい飲食業界への補償もそうですけども一部の業界だけに補助金を出し続けることが、正当化されるのかというのが論点になりそうです。

こうした政策は、世論が変化すれば段階的に縮小可能性はありますが、新型コロナウィルスで困っている飲食店を救うという大義名分がありますので、政治家としてはお金を出しやすい。

お金を大盤振る舞いするのは、だれにも文句を言われないので容易に実行できます。逆に言うとお金を国民から回収する=増税するときには毎度大きな摩擦が発生しますね。

平常時であれば、当然野党が政府の野放図な財政支出には歯止めをかける役割があるのですが、新型コロナウィルス感染状況が拡大している現在では、野党もそんなことは言えません。

そんなことを主張した日には、国民感情を理解していないと判断されて、選挙で負けてしまいます。選挙で不利となるようなことはわかっていても言えないのが政治家です。

日本だけでなく世界中で同じことをやっている

緊急事態宣言に伴う補償を飲食店などに与える―同じことが日本だけではなく、世界中で発生しています。もちろんどれくらいの補償を与えるか、というのは各国の政策によります。

しかし、日本でこのような状態になっているということは、多かれ少なかれ同じことを世界中で行われているのです。迅速性を意識した政策を打つということは、無駄な税金が市中に出回るという効果があるのは万国共通です。

ということで、休業補償という一つのニュースをみたときに、その事実だけではなく、背後に見えてくるものを想像すると株式投資に役立ちます。

ともあれ、お金が引き続きばらまかれ続けることには違いがなさそうです。

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