投資コラム

株価が上がってもあなたの資産が増えない理由

2021年9月現在、日経平均株価は30年ぶりのバブル崩壊後高値水準を取り戻すなど株価は堅調に推移しています。新型コロナウィルスまでの一部の銘柄への物色から全体相場への物色が着実にすすんでいます。

これまでずっと損をしていた銘柄が上がっているという人も多いでしょう。日経平均株価だけでなく、東証株価指数(TOPIX)もバブル後最高値を更新しました。TOPIXは全体相場の動向を表しますから、普通に考えれば株価が上がっているのだからそれだけ利益が増えているはずなのです。以下は40年間のTOPIXチャートです(日本取引所ウェブサイトより作成)

しかし、積立投資で「売らない」ことを前提として投資している投資家以外は、常に利益確定を考えており、最近の株高の過程で保有株式を売却してしまった投資家も多いのではないでしょうか。

株価の上昇があったとしても、上昇局面で個人投資家は利益確定して資産が増えないということがありがちです。このページでは、投資家がとりがちな行動、そしてその対応方法について解説します。

上昇についてこられない個人投資家

個人投資家の売買動向は逆張りです。下がってきたら買って、あがってきたら売る。レンジ圏で推移する場合には有効ですが、大きな上げトレンドでは取り損ねてしまいます。

株価が少し上昇すると株を売りたくなってしまうものなのです。私も保有している株を高値圏で一部利益確定してしまいました。自分でいろいろ書いていながらも一部利益確定をするのでその分だけ上昇についていけません。

そして上がっている銘柄ほど早めに売却してしまいます。今年ずっと保有していたレーザーテックという銘柄。

これも昨年から相当あがっていますが、この銘柄を相場の最初から握り続けて今でも保有している株主は少ないでしょう。途中のどこかで降りてしまっています。私も最初から最後まで握っているということはなく、途中で手放してしまっています。

含み益を我慢し続けるのはつらい

含み損には人間耐えられるのですけれども、含み益が増えていくのを我慢するのはそれ以上に辛いことなのです。ではどうやって耐えればいいのか。一つの方法論として、お金も株も同じと考えましょう。

長期投資では現金を中心に考えているのではなく、現金も株式も形式を変えているだけで、同じ資産です。その時々で有利なものに形を変えているだけとも言えます。

私もそう考えられるようになってから、利益を伸ばして損を切ることができるようになりました。これとともにゲームのコインであるという意識をもつと次第に切り替わってきます。

半分利益確定するのも手

倍になったところで半分売却するというのも、結果的に上昇局面で株価が上がる時に耐える方法の一つです。株主優待がもらえる銘柄をずっと保有していて気が付けば5倍、10倍になっている銘柄があります。

オリエンタルランド(4661)はその典型例ですね。個人株主の保有目的は金額が目的ではなく、株主優待なので結果として株価動向に左右されず、保有し続けているのです。人によってはお金がたまる前に株価が上昇して買えずに悲しい思いをしている人すらいます。

倍になったところで半分売る。単純なようですが、私の場合はこれが効果がありました。タダで保有しているとなれば、株主優待を保有しているのと同じように、タダの株をもっているから株価はどうでもいいやという心境を作り出せたのです。自分が思っている以上に、心に余裕があるかどうかは投資行動に影響を与えます。

心に余裕がないと相場が転んでいないのに、自分で勝手に転んでしまう。とにかく心に余裕がある状態を作り出しましょう。

もちろん、自分の相場観でまだまだ伸びるという考えがあるのであれば倍になったところで半分売らなくてもかまいません。あくまでストレスを減らす方法として自分が取り入れられる方法が一番です。

利小損大は人間の本能

また、株式投資の初心者は、利益を出している銘柄を利益確定するのはいいのですが、その分損失を確定しない傾向にあります。

たとえば、ソニーとパナソニックを保有しているとします。ソニーは勢いよく上昇していますから利益を確定したくなりますが、あまり株価の上昇していないパナソニックのほうはつい残してしまうのです。以下はソニーグループ(6753)のチャートです。

こちらはパナソニックのチャートです。

チャートを見てパナソニックのほうが安いからお買い得とばかりにソニーで利益確定した金額をパナソニックにつぎ込んでしまう。これをつづけていると、上がらない銘柄が占める割合が大きくなってしまうのです。

私もこれを今まで何度やってきたことか。損している銘柄だとさらに熱くなってナンピンをしてしまい、損失がゼロになるまでは絶対に売却しないという意気込みでホールドを続けてしまうのです。自分が何株保有しているか、どれだけの想いで株を保有しているかは相場動向に全く影響がないにもかかわらずです。

将来性の見込みがあってその銘柄を保有しているのであればいいのですけれども、必ずしもそこまで調べつくして保有をしているわけではなく、なんとなく保有していることも多い。なんとなくの保有でナンピンを続けていては、損する銘柄ばかりが残ってしまいます。

100円の株が300円になるためには、120円、150円、200円という経過をたどってようやく300円にたどり着きます。当たり前の話のように聞こえるかもしれませんが、損している投資家は120円で売る一方で、100円が80円に値下がりした銘柄を買い増しするのです。

まずは塩漬けしたがるのはだれでも通る道だと考える

この投資行動はなるべく利益を早く確定させて、いい思いをしたい。そして損失という痛みの伴う行為はなるべく先延ばしにしたいという、本能に近い部分での行動ですから普通に投資していれば誰しもやりがちです。

インデックスファンドであれば、この点は強い銘柄を常にポートフォリオに残しながら、悪い銘柄を常に入れ替えで外していますから全自動ですべてかたづくのですけれども、個別株投資を自分でやっているとそうもいきません。

あてずっぽうに買ったとしても利益が出る銘柄と出ない銘柄は半々ですから、今までと違う方法で投資をしていく。利益を伸ばすのが当たり前で、損失が出ている銘柄は減らしていくというのをトレーニングで積み重ねていきます。

最初はつらいかもしれませんが、次第になれてきます。そして安いところで再度買い戻す経験をできるようになると、それが当たり前のように思えてくるのです。もちろん、買い戻すときも底を打ったことを確認して上がり始めてからの分割売買です。

シルバーライフという銘柄について、しばらくウォッチしていましたし少し保有していましたが、この銘柄については株価の値動きが安定していませんでした。どんな株でも伸びるときはあるのですが(特に上場してしばらくして)、そのうち目新しさがなくなると本当の実力が試される展開がやってきます。

この会社は、来る超高齢化社会に備えて、高齢者向け宅配弁当市場でダントツ一番のシェアを作るために、積極的に投資フェーズと位置づけて、工場の買収など投資をつづけていますけれども、減価償却費がかかるなど、まだまだ利益が出るフェーズにはなっていません。2025年まではこのぐらいの低空飛行が続くかもしれません。

競合他社が追い付けないほどの参入障壁を作るのが難しいために、清水社長は、今から大きく投資をしておくことを決定したのです。この投資決定自体は我々投資家が非難することではなく、このビジネスモデルをどのようにとらえるか、どれだけ長期間保有する気があるかで判定すべきことでしょう。

チャートの見過ぎ

自分の反省を込めて言うと、チャートを見すぎていることが、問題です。ほぼ100%の個人投資家がチャートをみていますが、私を含めて正しい意味で使っている人は少ない。これまでこれだけ上がったんだからここから買うのは難しいという判断が働いてしまいます。

高値を何度も更新しているような銘柄は業績が著しく伸びており、投資家の視点は現在ではなく将来の企業価値の算定に向かいます。今10億円かせいでいるけれども、このビジネスモデルでいえば参入障壁があるので、ある程度は伸びていくだろうことが予想されていてもついついチャートをみて売却してしまいます。

個別株投資をするのであれば大きく上がる銘柄を取らないと利益は増えません。自戒を込めて言いますが、ついつい手を出してしまうのは、大きく下がってそこを這っているいる銘柄。もちろん最初の仕込みとしてはいいのですが、下落途中の株は反転するのに時間がかかります。下落途中では、あまり気合を入れてナンピンをしない。ポジションを増やしていきたければ、ある程度上がったところでのせるように買っていくべきです。

その後、倍になったところで半分売る、などリスクを自分なりに減らすことを考えていきます。

チャートを全く見ないで投資する人も

チャートを見るのも大事ですけれども、そうではないことに集中するのも大事です。私が一緒に株式投資の勉強会を開催している三浦さんは勉強会で出てきた銘柄を購入するだけで、それ以外の時は全くチャートも何も見ていません。

見ていないからこそ、あがっている銘柄を売ろうという欲にもとらわれていないので資産を伸ばしています。逆に損切りもしないので負けている銘柄もたまっていますが、強烈に利益が伸びている銘柄を持っているので、それらの負けは大したことがない状態です。

チャートや資産残高をチェックしすぎると、利益と損失どちらにも敏感に反応するようになります。定期的に銘柄を見直して、儲かっている銘柄を残しながら損失が出ている銘柄をカットしていく作業は大切ですが、中長期投資で有ればそこまで確認しなくても大丈夫です。

まとめ

今回の投稿では、株式投資で全体相場が上昇していても、投資家の資産が思ったように増えない理由、そしてそれを解消するための方法についてお話ししました。損失が出ている銘柄の取り扱いがポイントになりますが、それは一朝一夕でできるようになるものではありません。株式投資では実践が大切です。

損失が出ている銘柄の取り扱いを特に考えてください。最初は損切りをしなくてもかまいません。せめてナンピンをするのではなく、あがっている銘柄に残高を寄せていくという意識で株式投資に臨みましょう。これができるだけで投資成績がグっと変わってくるはずです。

 

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