先日、中学生・高校生向けに株式投資のボランティア講義をしてきました。月1回やってきたのですが、今回は第12回ということで一年間の総決算でした。
この取組みは、1年前に一緒にセミナーをやっている三浦さんのご子息が株式投資について少し知りたいということでしたので、他にも声を掛けてやってみようという形で手弁当で始まったものです。
1年間、株式投資の基礎をコラム形式でやりました。だれでも株式投資をすべき理由、株式投資の仕組み、会社で働くとは何か、会社でお父さんお母さんは何をやってるのか、株が上がるとは何か、財務諸表の見方、株式会社の歴史など、基礎的なトピック的に取り上げて1年間、月一回講義をやってきました。
学生が体験するのが難しいのが株式投資
株式投資は、ゼロをイチにすることはできません。投資はお金を増やすもの。なので、自分の力でお金をまだ稼いでいない中学生・高校生が、本当の意味で実際に体験することが難しいんですよね。
プログラミング・英語はお金がなくても体験できますし、実際に上達することが体感できます。
しかし、資産運用というのは自分で稼いだお金を投資して、お金が増えるというプロセスを感じるスタートのところで、つまづいてしまう。やはりそもそものお金がない、というのは学ぶ上でのハードルです。
もちろん学生はお金を稼ぐことが出来ませんし、勉強するのが本分。小学生の頃からまとまったお金で資産運用をできるのは旧村上ファンドの村上世彰氏ぐらいのレアケースでしょう。リアルマネーを使って投資出来たとしても、親御さんが出してくれるお金になります。自分が稼いだお金で投資するのが投資なので、真剣さが足りない。
さらに親がお金を出してくれないとなれば、模擬投資(お金を使わず投資したつもり)で1年なりの期間を設定して投資の成果がうまくいったかどうかというのを確認するというものにならざるを得ないんですね。
せめて主催側が本気になる
はじめる前からそれはわかってはいたので、せめて机上の学問にならないように、講師側はリアル感を出そうということ私は自分の株式投資の成績を常に見せ続けてきました。
1年間これだけのお金を増やすために投資を続け、実際に1年間やってみて株式投資の結果を見せてきた。結局1年前と比べて約25%程度の増加になりました。
そもそも、リアルな話をすると具体的なビジネスの話も入ってくるので、難しい側面もある。特に私がやっているのは個別株投資で、投資信託よりも込み入った知識を必要とします。あまり内容を子供向けにしても面白くないと思いましたが、やはりやらされている感はありますよね。
自分の中高生時代を振り返ってみても、ぼーっとしているというか体はそれなりに大きくなってきたけど、まだ知識はなくてぼんやりしていた気がします。中・高校生は部活、学校の勉強、友達や恋人と遊んだりと、それなりに日々忙しい。
自分が全て自由に使えるお金はお小遣い程度ですし、親御さんの監督下にありますから自分自身で決定することが習慣づいていない。40を迎えた自分はかれこれ20年以上、毎日何をするかを自己決定してきたわけですが、その感覚を忘れていました。
まだ自分一人で判断できることが限定的で、親と一緒に判断して大事なことを決めるという年代であることを考えると、リアルに株式投資を感じるというのは、相当難易度が高い話だったのかもしれません。
ともあれ1年やってみて、今の段階で投資に鼻息荒くなってもらわなくていいということ。今何を言っているのかわからなくてもいいし、中高校生の時に投資に夢中になっているということは、あまり精神衛生上と言うか、教育上よろしくない。
10年後に役立つ話をする
リアルな投資で戦っている大人のナマの話を、若いうちに聞いておくということが彼ら彼女らの将来に五日の時点で役立てばいいなと。
10年経てば、社会人として歩みだしているはず。こちらは50でそろそろ社会人生活も終盤戦に差し掛かるころですが、彼らが若手社会人として世で働きだしたとき、そういえば株でお金稼いでる人いたなということが分かってくる年ごろでしょう。
自分で稼ぎ出すと株式投資の大切さがわかる
初任給で20万円ぐらいのお金を稼ぐ。生活費や遊んで使ったりして、毎月貯められるのが2、3万円だということを実際に自分で感じる。
そしてこのまま掛け算していっても、3万円を12回かけても36万円。ボーナスを入れても100万円もたまらないじゃないか、働くだけじゃあ金持ちになれない。上司を見ても億のカネをつかんでいる人はいない。それを現実問題として意識できるようになって、始めて投資のありがたみがわかる。
カンが鋭い人は20代前半からはじめますし、そうでない人でもさすがに30を超えてくるとわかるはずです。私も資本主義で豊かな生活をしたかったら、労働者の常識を捨て去らなければならないと気が付いたのは30を超えたところでした。
彼らが、そこで3000万とか5000万と株式投資でお金作った人の話を、昔の記憶を辿ってそれがトリガーとなって、その時点から投資を始められる切っ掛けになればいいのです。
大人はスグ役に立つ話を求めがち
どうしても社会人経験が長くなると、今スグ学んで今すぐ役立つ知識を、どれだけ効率よく身に着けるかが仕事をスムーズに進める上でのコツになるので、頭がそうなりがちですけど、10代の学生に教えるのは今役立つ話ばかりじゃない。
部活を指導していても、バスケットボールやサッカーだけを教えているわけでなくて、これから長い人生を生きていく上で役に立つ集団生活のコツ、リーダーシップの取り方、自分の活かし方、目標を立てて努力をすること、といった基礎スキルを学んでいるということでもあります。
今まさに役立つかといわれれば、冒頭感じたように少し難しかったかもしれないけれども、今教えて、今役立つことばかりじゃないということを思い出させてくれました。
株式投資にネガティブな家庭で育つと、投資を始めるのに時間がかかる
そして、株式投資に対してあまりプラスのイメージを持っていない家庭、株式投資は悪だというイメージを持っていると、投資に対してネガティブな感情が出てしまう。
今回のボランティアセミナーに来てくれた子供たちの親御さんは投資に対して少なくとも悪いイメージを持っていない人たちが多かった。ですが、世の中には投資に悪いイメージを持っている人も多く、そうした親の元で育った子供が資産を形成するのは選択肢の一つ、というフラットな関係に気持ちがなるまでには、働き始めて数年かかるんですよ。
親の影響をから抜け出すには、やはり独立したモノの考え方を身に着いてから。社会人になれば誰しも自分のことを考えるようになりますけれど、数年間かかるわけですよね。
長田も30過ぎて投資に本気になった
私自身もやはり株式投資というものに対して、真剣に向かい合うようになったのは30を過ぎてからの話です。親が反対はしてなかった(どころか母親は株式投資が好きだった)のですけども、やっぱり30過ぎてから収入が増えて投資が面白くなってきた、そして怖さを知ったところから、完全に親の考えから脱却して自分自身の考え方になってきました。
大学出るまでは、どうしても親の影響を受けていたことを思い出します。あまり何がやりたいという子供ではなかったので、勉強を普通に頑張って、がむしゃらに勉強して大学まで進学した。そこにあまり意味は感じなかったけれども、勉強することが正しいのだと素直に信じられるのが高校生です。
もちろん、親がいい大学に入って、良い会社に入って欲しいと自分に願っていたのは幸せな人生を歩んでほしいと願っていたから。大人になるまでにたくさんのお金を教育に投資してくれて大変感謝しています。
ただ、資本主義とは何かという仕組みは教えてくれなかったし、労働者としていかに良く働くかということが刷り込まれてきた。
今の自分の考え方、すなわち目の前の仕事をすることは大事だけれども、豊かに暮らしたいのであればなるべく若いうちから投資を始めておいたほうがいい、ということを明確に教えてくれたわけではありませんでした。
それは、30ぐらいまでに様々な勉強をしているなかで、すこしずつ身についてきたことです。
若いうちから資本主義のカラクリを知るメリット
これが20過ぎのところから、なんとなく起業は難しくないとか、お金を自分で稼ぐと経費を使って節税できるとか、そういう実践的な話を知っていたら身の振り方も変わっただろうなと思います。
今の勤務先には何の不満もありませんが、サラリーマンとして稼いでいる以外の収入源がある、とか実践的な話を知っていることで、人生そのものが変わるかもしれない。その雰囲気を教えられたのも一年間続けた価値だと信じています。
株式投資・経済・銘柄などに関する情報をお届け中。
メールマガジン限定の音声も配信しています。
購読無料。どうぞお気軽に登録してください。