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株式投資の利益が税制面で優遇されているのは何故か

サラリーマンで稼いでも累進課税という壁がある

サラリーマンは、年功序列で給料は少しずつ上がってきます。しかし、増えた分だけ豊かになるかと言えば、そうは問屋が卸しません。「累進課税制度」という壁が立ちはだかってきます。

日本において労働者としての所得を得る場合、年収1,000万円を超えるあたりから懲罰的な課税が始まります。資本主義の大原則、リスクを取った人が一番報われるという考えに基づいて、税制としては投資から収入を得るほうが有利です。このページでは累進課税制度について説明し、投資で得られるお金との税制面の違いを比較します。

高所得者を苦しめる累進課税制度とは何か

累進課税制度とは、所得が増えれば増えるほど、増えた部分にかかる税率を増やして、高所得者に相応の税負担を求める税制方式です。

給与所得者の所得は、すでに一定の金額が給与所得控除という形でみなし経費が差し引かれており、節税の手段が限られています。給与所得だけが収入源の人は、ガラス張りで税金を取られているということです。会社経営者や個人事業主のように様々な節税策が使えないために、給料が上がれば上がった分だけ取られてしまいます。

感覚としては1000 万円を超えると、超えてきた分の半分は取られるという感じです。所得税、住民税に加えて、社会保障、消費税の10%が乗ってきますから5割課税と考えればいいでしょう。さらに高校無償化や、児童手当の減額など、ほとんどの公的支援制度から外れてしまいます。そのマイナス分を入れるとさらに実質的な手取りは減少します。

給料が上がってくる年代は、子どもが高校生・大学生になっており何かとお金がかかる時期にもあたりますから、収入が増えてリッチになると感じることはありません。それもそのはずで、中高年は物入りになるだろうからその分を増やそうという発想で給与モデルが設計されているからです。

株式の売買益・配当金にかかる税制は20%

いっぽう、株式投資で得られた利益にかかる税金はどうなっているでしょうか。株式投資から得られる利益は売買益(キャピタルゲイン)と配当金(インカムゲイン)の2種類がありますが、いずれの所得にも約2割が所得税・住民税として課税されます。

先ほど1000 万円を超えてくると、給料が増えても5割が税金で持っていかれるという話をしました。課税所得が同じでも5割と2割の差は大きいです。努力で埋めるのが難しいほどの圧倒的な差です。

金持ち本のベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』(扶桑社)で、収入源により税率が異なることを著者のロバート・キヨサキ氏は金持ち父さんに語らせています。労働所得は税金の優遇がない所得なので5割持っていかれる。投資から得られる所得(ポー
トフォリオ所得)は2割の税金が持っていかれる、と。お金持ちほど、税制が優遇されている投資からの所得が増えていきますから、さらにリッチになっていくという仕組みです。

投資はなぜ2割の課税なのか?

なぜ、投資でえた利益には2割しか課税されないのでしょうか?
「お金持ちから税金を取らずに、どうして庶民から税金を取るのだ」と不満の声が聞こえてきそうです。しかし、この仕組みは日本だけでなく資本主義を採用している世界中で採用されています。

今後も廃止される見込みもないのですから、それなりの理屈があるのです。それは、ひと言で言えば「投資家はリスクを取っているから」なのです。

新しくラーメン屋で起業する人がいるとしましょう。この世に生み出すサービスは、当たるかどうかわからない段階で誰かがリスクマネーを提供しないと始まりません。食材仕入れ、テナント料、水道光熱費、人件費、広告宣伝費、借入金利、保険料と、出ていくものをま
ず支払ってから始めるのが商売です。

やっとのことで軌道に乗ったとしても、ライバルの出現、時代の変化、災害、顧客の好みの変化など、様々な不確定要素を乗り越えながら商売を続けていかなければなりません。

損失が発生した場合には、どんなに経営努力したとしても1円ももらえません。一方サラリーマンは働きさえすればいくばくかの給料を必ずもらうことができます。つまり、リスクを一切取っていないのがサラリーマンです。投資家はこうしたリスクを負っているからこそ、その収益にかかる税金が少なくなっているのです。

企業経営者は海外と税制を比較する

また、海外との競争という意味もあります。いまや優秀な経営者は課税率が低い国で起業することを選べる時代です。国をまたいでどうやって税率の低い国でビジネスを展開するのか。国際的な企業になればなるほど、それを考えています。

米国株のパフォーマンスが良いのは、経営効率がすぐれているだけではありません。彼らはタックスプランニング(どの国で事業を展開し、納税すればトータルで一番納税額が減るか)を徹底しているという側面もあるのです。

様々と述べましたが、理屈はともかく、まずは2割課税(資本家)と5割課税(労働者)の違いを知ることが金持ちへの道です。複利で計算してみれば、それはさらに歴然としています。同じ100 万円を稼いだとしても、投資で稼げば80 万円、労働で稼げば50 万円を毎年再投資に回すことができます。

10 年間、5% の複利で計算したものが以下のチャートです。ご覧の通り、大きく差がついていくのがおわかりいただけるはずです。収入の種類の違いで10%以上も手残りが違ってしまうのですから、定期預金はどこに預けるのがお得かを考えるよりも、どうやって投資から収入を得るのかを考えるべきです。

まとめ

サラリーマンは給与所得しか収入を得る方法を知らないが、実は収入源としては最も効率が悪い働き方です。稼げば稼ぐほど責任は重くなり、かつ累進課税制度により税金の負担が重くなってきます。

給料が年々増えていきますが、その頃には子供が大きくなっており教育費にお金がかかりだします。つまりいつまでたっても給与所得だけでは豊かになることはできません。

一方投資は、一定の税率(20%)がさだめられておりいくら稼いだとしてもそれ上払うことはありません。この違いは毎年複利で運用していると大きな差になります。株式投資が税制的に優遇されていることを理解して投資することが大切です。

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