投資コラム

ITが浸透するにつれてさらに経済的な格差は広がっていく

「r >g」という公式の世界からは逃げられない

経済格差の拡大を問題にする人がいます。しかし、資本主義社会においては格差というのは本来広がるものです。「r>g」、この不等式をご存じの人も多いでしょう。r とは、資本
収益率、g とは経済成長率を意味しています。もっとわかりやすく言えば、「投資から得られる収益は、常に労働をして得られる収入よりも大きい」ということです。

つまり、お金持ちが投資で稼ぐお金は、庶民が働いて稼ぐお金よりも大きいのです。常に投資のほうが得られる金額が大きいのですから、格差は常に広がり続けます。これは骨太の経済書籍でありながら異例の大ヒットとなった、フランス経済学者トマ・ピケティ教授が『21 世紀の資本』(東洋経済新報社)で過去200 年間にわたる膨大な調査の結果論証した事実です。

サラリーマンだけではお金持ちにはなれないというエントリーで説明した通り、資本家がさらに資本を増やすのが資本主義であって、給料は本質的に資本家が利益を得るための経費の一部なので、投資家が納得する利益が得られないならば、お金の出し手がおらず、そもそもビジネスとして成り立ちません。

絶対的なこの法則がある限り、政府の介入(税金の徴収)があったとしても格差を縮める効果は限定的で、結局は資本家がより資本を蓄える社会構造になっているのです。

資本の格差をなくすことはできない

社会が発展するにつれて、資本主義は格差を拡大し続けます。政府にできることは、格差を少しでも縮めるためにビジネスで成功した人から税金を徴収して、その他大勢の人にばらまくという所得再分配くらいです。それとて、あまりにも高い税率を課してしまうと、企業は経済的に合理的な選択肢を取って、会社をたたむか、所在地をほかの国に移してしまいます。

政府の義務は、国民が過度の貧困状態に陥らないようにセーフティネットを張りめぐらせるというくらいです。

IT化でさらに格差が広がる

IT の進化は人々の暮らしを劇的に便利にし続けていますが、同時に格差拡大に拍車をかけています。情報流通の仕組みをつくり上げた人、それを利用する人には恩恵がありますが、普通に従業員として働いていてもメリットはあまりありません。

株式投資を例に挙げてみると、昔は対面営業をしている証券会社で売買注文するのが当然でしたが、今ではオンラインになりました。東京証券取引所でも昔は「場たち」という制度で、人と人が売買を付け合わせていましたが、今では完全にコンピュータ化されています。

投資に必要な情報も簡単に入手できるようになりました。かつては有料で取り寄せていたものも、法定の有価証券報告書や決算短信、そのほかの適時開示情報もいつでもどこでも無料で閲覧することができるようになりました。

また、企業のウェブページを見ることで企業の情報も容易に見ることができます。『会社四季報』もオンライン証券に口座を開いていればオンラインにて無料で見ることができますし、株価のリアルタイムチャートも見ることができます。

IT化がすすむと、単純労働が減っていく

こうした仕事はかつて人がかかわっていた仕事ですが、それが次々と人の手を借りなくてもできる仕事に代わっています。とくに才能のない普通の勤め人が給料を上げてくれと願っても、IT化が進めば進むほどそれは難しい。それならば、どうすれば勝ち組に回れるのかを考えたほうが生産的です。

あなたが、お金儲けが上手ならば起業すればいいし、得意でなければ株式投資をして他人に任せればいいのです。「配られたカードで勝負するっきゃないのさ」というスヌーピーの名言の通り、置かれた環境で打てる手を打つ。すなわちリスクを取って投資に乗り出すほかありません。

リスクから逃れることは誰にもできない

資本主義社会においては格差が拡大していくのだから、それなりに豊かになろうと思えば投資をするほかありません。資本主義とはリスク・テイクした人に報いる経済システムです。儲かりそうな会社に投資しておけば、そのリターンが10 倍や20 倍になることもめずらしくはありません。

そうは言っても、株式投資で損するのが怖いと考える人もいるでしょう。実際に短期的な株価の上下は50%ですし、業績が上がらない会社の株をつかんでしまうと長期的に下落します。ただでさえリスクをとるのを怖がるのが人間です。日本ではバブル崩壊後、あまり株式投資がうまくいっていないイメージがあります。株式投資にネガティブな意識を持つ人が多いのもうなずけます。

しかし、投資が苦手だからとリスク資産を保有しないという選択をしていたとしても、資産が上下するリスクから逃れることはできません。

100万円を株式と現金で保有しているケースで考えてみる

ここで、あなたが100 万円を現金で保有しており、あなたの友人も同じく100 万円を保有しているという例で考えてみましょう。

あなたの友人は100 万円を株式に投資しました。株式が上昇して100 万円が200 万円になったとすれば、あなたは友人より100万円分の資産が減ったことになります。いっぽう、株式が下落して100 万円が50 万円になったとすれば、あなたは50 万円分資産が増えたことになります。

リスク資産は資本主義には欠かせないものです。そのリスク資産の価格は市場で常に動き続けていますから、価格変動のリスクから逃れることは一生できないということなのです。

まとめ

資本主義社会においては、もてるものともたざるものの格差が必然的に拡大します。今後AIなどIT技術がさらに我々の生活に浸透していくにつれて、従業員として働いている人の給料はあがりにくくなります。

資本主義から逃れることはできません。自分はリスク資産を保有していないとしても、他者が保有している以上比較で格差は発生し拡大します。

格差社会で生き抜くためには、与えられた環境を所与のものとして、どのようにこの資本主義というゲームを上手にプレーするか(資産を増やす)が大事です。資産を大きく増やすことを狙うのであれば、株式投資が最適です。

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