書評

「働きたくないけどお金はほしい(遠藤洋著/ マネジメント社」を読む

タイトルが目を引く本ですね。でも中身は正直すぎる資本主義時代の生き抜きかた指南書です。これからの資本主義社会が、これまでの資本主義社会とどう異なるのか、どのように生きていけばいいのかについて株式投資を絡めながらわかりやすく知識を得ることができます。

労働者の立場でしか利益を得ることを考えていなかった人にとっては、発想を変えることができる点で特に有用です。以下、気になった点について書評です。

格差社会が拡大する

遠藤氏はこれからはますます富の寡占化が起こるということを述べています。これまでの産業革命とは異なり、 it 革命というのは新たに雇用を生み出し、旧来の産業から新たに労働力を吸収できないという側面があります 。

it 化とはすなわち中抜き、合理化です。人がいなくてもシステムを回すことができる仕組み化なのです。求められているのは、仕組みを作ることができる少数の人であって、多数の手を動かす人ではありません。

我々は小さい頃から体を動かすことコツコツやることが美徳だと叩き込まれてきましたが、これからの世の中ではそのコツコツは、 aiや ロボットに取って代わられてしまいます。したがって、これから労働者として働くだけでは、十分の所得を得ることができないという主張が一貫して展開されています。

格差は広がるが、生活はできる

確かに格差が広がるのですが、株式投資は必ずしも必要ではありません。もちろん私は豊かになりたいと思っていますから、株式投資をしています。

しかし、株式投資をしてないからといって生活できなくなるほど貧しくなるかというとそれは違うでしょう。あまりにも格差が広がったうえに、生活できないほど大多数の民衆が困窮する場合には時の政府や経済のしくみに不満が溜まります。

資本主義とは格差拡大装置ですが、格差が耐えられないところまで拡大すると、ゲームがリセットされるというのもまた埋め込まれた仕組みです。

また、見方を変えれば it によって人々が生活コストを掛けることなく暮らすことができることでもあります。すでに日本人は飢えを克服しています。家も余っている。となると残っているものは医療程度で、後はコストを上げずに生活できるということです。

また現業の仕事、工事現場、小売りや飲食業、荷物の配達ドライバー、医療は必ず残ります。人と人が接する仕事というのは残るんですね。

この本はなんらかの投資やビジネスをすべきというスタンスで書かれているのでややかたよっていますが、投資なしでもIT化がすすめば、それこそお金がなくても無料で遊べるものが増え、楽しく生きていけるということでもあります。

したがって私としては、本書のスタンスに基本的に賛成しつつも、格差社会で豊かに生きて行こうと思うのであれば、株式投資がもしくは自分で起業して新しいお金の流れを作り出すことが必要。ただし、投資をしなくとも生きてはいけるという考えです。

働くことの対価は相手を喜ばせること、だが。。

確かにこの通りですね。相手を満足させているからこそ対価が得られている。ただ、大企業のサラリーマンの仕事というのはつまらない仕事が多いです。相手も喜んでいるかどうかはわかりません。上司もその上司を喜ばせるために仕事をしているので、皆が単なる作業になっているのですね。

もちろん仕事ですからちゃんとやりますが、それが何のために行われてるのかと言うと、会社が確実に利益を出すためミスをしないような仕組みづくりに関連した仕事が多い。

そうした人は現状を踏まえてどう考え、行動するかですね。実際には上司を喜ばせたとしても、金銭的に報われるものではないというのは、筆者が主張するとおりです。あくまで時給で働いている存在がサラリーマン、労働所得者ですから。

割り切って副業・投資するのもあり

そこで、仕事では一定の努力をするものの、過度にはたらくことなく他の方法、例えば投資によって資産を構築することを選ぶのも選択肢の一つです。働いても働かなくてもサラリーマンである以上、ほとんど給料は同じです。

仕事自体が楽しくてモチベーション上がってる人はいいですが、仮にそうじゃない人が無理やりモチベーションを上げようとしても、早々続くものでありません。

仕事自体がつまらなくて、やってもやらなくても評価があまり変わらなくて、それでも上司を喜ばせるよう一生懸命やろうと思える人は多くありません。ですからそこは割り切る考えも大事です。

労働者と資本者の違い

これをそもそも知らないというステージ、そして行動するステージがあります。まずわかっていない人にとってはこれは覚えておくべき考えです。

金持ち父さん貧乏父さんを始めとした金持ち本に書かれている内容とほとんど同じです。

労働者の世界

労働者というのは自分の時間を提供することでお金を得ています。時間を提供するのが仕事ですから、決められた時間の中で決められた仕事をする。

言われたことをするのが基本で、自分で仕事の幅を選択することはできません。

10年も働いているとこのマインドが身について言われた仕事を淡々とやると言う人間が完成します。ホリエモンのいうところの品川駅のゾンビの完成です。

自分で物事をどんどん考えられなくなってしまうというのも特徴です。入社する前は様々なことを考えられたのですが、会社の考え方に染まるうちに、思考放棄してしまうのですね。

収入について言えばさらに不利な部分もあります。まず税金が引かれ、それから日々の生活費が引かれたものが、やっと自由に使えるお金になる。やりたいことがあったとしても、上限があってあきらめることが多くなる。

ただ、給料が増えても元に残るお金は変わらないと書いてありますが、私はこれはそう思いません。給料が増えて生活費を変えていなければやはりお金は残りますし、私は実際にそのようにしてお金を貯めています。

資本家の世界

資本家は全く反対の考え方で生きていますゲームが違うのです。自分が働くのでなくて、人に働いてもらってお金を作る。そして人のお金を使ってまたお金を作る。人の労働力と人のお金で資本を増やすのが資本家です。

ルールは自分で決められますし、どのように働くかも自分で決められるということです。その代わり儲けがでなければ、何百時間働こうとも1円もらうことができません。

労働者は必ず働いている時間で給料もらうことができますが、オーナーは働いていようが、働いていまいが、作っている仕組みがお金を生み出すことができさえすれば、儲けることができます。

株式投資のしている人がもらえる配当金は、株主が一生懸命働いているかは関係ないですよね。その会社が利益を生み出してさえすれば、配当金はもらえます。

不動産収入もオーナーが頑張るかどうかは関係ないです。賃貸人が、家賃を払ってくれさえすればお金がもらえるのです。

ブログもブログやメルマガによる広告収入も、一度ページを作成すれば読んだ人が商品を購入してくれさえすれば権利が発生します。

これからの労働者が生き残っていく道は二つしかない

一つは資本家に選んでもらえる労働者となる、もう一つが労働者から資本家になること、と遠藤氏は示唆します。資本家に選んでもらえる労働者になるというのは、運任せなところもあります。

労働者がスキルを身に着けるにはそれなりの時間と労力の投入が必要です。ところが、それが必ずしも今まさに求められている技術かどうかというのは確実ではありません。今をもてはやされるITエンジニアも10年前はオタクの仕事というイメージが強かったのです。

そして、自発的にスキルを身に着けるといっても、人の言われたことをやるという今までの教育を受けてきた人にとっては、発想の転換が必要です。

労働者だから資本家になることも当然大変です。資本家になる方法は、3つありまして自分で起業するか(起業)、自分のサイドビジネスをもつか(副業)、また人の起業した会社に乗っかるか(投資)という3つの選択肢があります。

現状に満足していない普通のサラリーマンは副業+投資というのが相性がいいです。今までの安定した給与所得を得ながらさらにプラスした収入を狙っていけますし、成功すれば収入の柱が3本(給料、副業、投資)になり、時代の変化にも対応していけるからです。

人間は自分の器以上のお金を持つことはできない

これはお金の使い方に関する哲学を持ってない人に向けたメッセージです。人間は知らず知らずのうちにお金に色をつけています。本来はお金に色はない、つまり1円は1円なのですが、どのようにしていたお金かということを人間は頭の中で認識して区別しています。

労働によりコツコツ稼いだお金は無駄遣いしないようにする一方で、競馬やパチンコで買ったお金は散財しても構わないお金と判断するのです。

ですから、宝くじのようなお金をドカンと手にした人はそうなりやすいですし、株式投資でもお金が入ってきて贅沢してしまう人も少なくありません。その一度贅沢を覚えると、生活水準が上がります。一度上がった生活水準を下げるのは容易ではありません。

お金が入ってこないのに贅沢な生活をし続け、そのうちお金が尽きかえって貧乏になってしまうかもしれません。

資産が増えても給料の範囲内で生活すればいい

では、普通のサラリーマンは投資で儲かった後どうすればいいのか。普通のサラリーマンは自分の生活を給料の範囲であり続けるということを基本とし、不労所得のお金はあくまで投資のお金、いわばゲームのコインであるというスタンスを崩さないというのがお金の器を大きくする方法です。

私も実際に生活は給料の範囲内で生活していますし、配当金でたまに贅沢することはありますが、基本はあくまでも再投資に回し続けています。私の手元に入ってくるお金は定額で、証券口座にどんどん吸い取られているようなイメージです。

いくら儲かっても生活水準を上げない。こうすることで、お金がどんなに増えてきたとしてもおごり高ぶることなく通常の生活を送ることができますし、結果億単位のお金を持つことができるお金の器が備わるのです。 

資産形成の方程式

これも多くの金持ち本に書いています。金持ちになるルールを方程式で表すと、収入から支出を引いて、それに利回りをかけるというものです。

ですから金持ちになるには、収入を増やすか、支出を減らす、そして利回りを増やす。この3つを意識することが不可欠です。

タネ銭を貯められるように収入と支出のバランスをとり、黒字にすることが一番。次に副業でお金を増やすのが2番、そして投資でお金を増やすのが3番というのが無理なく資産家になれるステップです。

累進課税の罠

給料を増やしたとしても確かに手取りは増えた気がしません。上がったところで累進課税でどんどん取られるので、実際に増えません。さらに年収が増えるほど、児童手当などの手当から抜けてしまいます。

私も40歳近くになってきて、税負担ばかり重たくなっています。来年からは介護保険の支払も始まります。サラリーマンだけやっていても一向に豊かになりそうもありません。

私より稼いでいるはずの上司を見ても、あまりお金が増えている感じはしません。さすがに役員クラスになるともらえる金額は多くなっていますね。それでも彼らは、役員報酬という形でとてつもない高い税金を支払っています。

払えば払うほどサービスが悪くなるのが税金

たくさん税金を払うと、受けられるサービスが悪くなるというのが税金の世界です。税は所得の再分配の役割を果たしている、というのはわかるのですが毎月多額の税金が引かれていると、ため息が出ますね。

営利企業ですと、たくさんお金払ってくれる人は上顧客ですから、サービスがどんどん良くなっていくはずなんですよね。割引があるのが普通です。

しかし、税金の世界で全く逆。税を払えば払うほど、さらにもっと払えという過酷な制度です。そのため能力がある人でも、所得が一定以上になると、労力と収入が見合わないということで働く意欲がなくなることがあります。

居住地が関係ないビジネスをしている人は、シンガポールなど税金が安い国に移住したくなるのはわかりますね。

節税には様々な方法があるのですが、一つの方法としては自分のビジネスを持つことです。というのは、給与所得ではなく事業所得というのは経費を使える分、実質的にはさらに割りがいい仕事なのです。

事業所得の100万円は給料の200万円の価値がある

この本では、自分のビジネスについてセミ不労所得という表現を使っていますね。例えば、アフィリエイトで年間100万円程度の副収入を得た場合には、様々な経費を計上することでまるまる自分の手取りにすることができます。

青色申告、経費を使う、家賃などの生活を一部計上するといった方法で、課税所得を圧縮することができるのです。

これはお金持ちになりたければ押さえておくべき、必須の考え方です。合法的に認められた方法で、まるまる投資に回せる収入を作る。

どうやって利回りを上げるかということも大事なんですが、どのように最初にお金を作るかということについても考えた方がいいのです。

お金持ちになるためのステップ

金持ち父さん貧乏父さんと内容は同じですが、よりわかりやすく書いてあるという意味で読む価値があります。同じことを説明するのでも、他の人の考え方を知るというのは刺激がありますね。

時価総額を見ろ

遠藤氏は投資するにあたって、その銘柄の時価総額を確認することを勧めています。資産を倍増させるには株価がよく上がる銘柄を選択する必要があり、時価総額が小さい銘柄の方が業績が良くなった場合の株価へのインパクトが大きく、株価が上がりやすいからです。

 面白いのは、この話を同じようにビットコインを当てはめている点です。ビットコインをひとつの銘柄とみなすと、時価総額がわかる。

時価総額というのはそのビジネスがどれだけの付加価値を世の中に対して与えているかという尺度になる、ということです。

この尺度を見逃すとして、時価総額ばかり追いかけてるから投資の視点が定まらずうまくいかないのだ、ということを遠藤氏は主張しており、その通りだと感じました。

伝統的な投資分析手法への疑問

遠藤氏はさらに、今後人々が持つであろう欲望を満たす事業を展開する会社を探せということを主張しています。

伝統的な割安株や成長株の尺度では足りないと考えているのでしょう。確かに世の中が大きく移り変わっているので、過去にこだわることなく取引の対象を変えていくことが大切なんですよね。

まとめ

この本は具体的な投資の内容も少しだけ書いてありますが、そもそもこれからの資本主義はどう変わっていくのか、そうした世界で生き残っていくためにはどのような考え方をすべきかという基本的な考えを学ぶのに最適な本です。

今回ご紹介した内容以外にも、ここだけの儲け話はない、ビットコイン、仕手株の仕組みなど面白い話がちりばめられています。

投資だけでなく、自分のビジネス(セミ不労所得)を得ることも含めて、自分で資本家サイドに回るべきという主張はもっともです。

あとは実現できるかどうか。この本を読んだら、本に書いてある内容を参考にしつつ、投資やセミ不労所得の獲得に向けて動き出しましょう。

 

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