株式投資をするうえでは、決算情報など数字を把握することが大切です。しかし、数字以外の情報を調べることも大切です。
その中でも私は投資先の社長に注目しています。オーナー企業に投資することを中心としていますので、オーナーがどのような考え方を持っているかを知ることが大切だと信じているからです。
それでは具体的に、オーナーの動画を見ることに、どのようなメリットがあるのかについてこのページでは解説します。
数字・文字ではわからない情報を感じ取ることができる
ウェブサイトを確認することや社長の動画を見る目的は、数字だけではわからない会社の個性、会社の儲けの秘密をどうやって探すためです。
我々は投資先の会社の従業員や取引先ではありませんから、直接会社のことを知ることは不可能です。
社長のチェックは、医者の問診・触診と同じ
いわば我々がやっているのは、お医者さんの診察と似ています。
心電図、採血、CTスキャン、採尿などで血糖値、コレステロールといった健康に影響がある数値が明らかになり、それを元に健康状態を確認するだけでなく、実際に患者さんに病状を聞く、目、鼻、喉などをのぞき込む、触診、聴診器で脈を確認したりして、病気の原因を探っていますよね。
株式投資でも、数字に表れない部分をチェックする
株式投資に当てはめてみますと、財務指標や経営上の重要な数字(KPI: Key Performance Indicator)を確認するのは、数字で会社の経営状況を把握することです。
でも、それだけで投資をするのは十分ではない。会社は経営者はじめとして人の力で成り立っているものです。かかわる人たちが力を発揮して働いているか、なぜこの会社は利益が出るのかなどといった秘密を自分なりに探るべきです。
ファンドマネージャーは実際に会社を訪問して投資のヒントを得る
この点、投資信託のファンドマネージャーは、実際に本社があるところまで訪問して経営者にインタビューしつつ、会社の様子から伸びる会社かどうかを探ります。
会社の様子を見るだけで、伸びる会社、伸びない会社のヒントが詰まっていることを彼らは体験を通じて知っているからです。受付の女性が美人過ぎないかどうか、会社でスリッパの社員がいないか、資料が整理整頓されているか、挨拶する文化があるか、社長室は華美すぎないか、社員食堂はどこにあるか、そういったことに投資のヒントが隠されているのです。
敏腕ファンドマネージャーがまとめた本がおすすめ
こういった点についてもっと詳しく知りたい方はレオスキャピタルワークス(ひふみ投信)藤野英人氏著「スリッパの法則」をご覧ください。2004年と随分前の書籍ですが、書かれている内容は今でも通じるものがあります。
といっても、我々は実際には機関投資家のように社長にインタビューする、または会社を訪問する機会は少ない。それでも、私は公表されている情報を探るだけでも十分な情報が出てくると信じて、今日も調べ物を続けています。
個人投資家は、社長インタビューを参考にする
そんな我々が会社経営者の情報を知ることができる数少ない情報源がYoutubeなどの動画インタビューです。
動画となりますと、文字情報だけでは伝わらないことがわかってきます。先ほど1枚の経営者の写真からでも様々なことがわかると申し上げましたが、動画となればさらにさまざまな情報がわかります。
とりわけ、社長は会社の強みをアピールすることが上手です。創業して上場までこぎつけたからには、他社にはない強みがあるからです。その強みをインタビューで語っていて、その理由に納得できるのであれば買いの材料になります。
動画を見たい方はYoutubeで会社名を入力しますと、上場時のインタビュー動画などが出てきます。
見ている投資家はほとんどいない
動画といえば、著名Youtuberが解説した動画を見る人が多いのではないかと思います。彼らは話し方もうまいですし、会話の間にある無駄な間も編集されているのでテンポよく聞きやすい。
しかし、内容はどうかといえばどんなにわかりやすいといっても2次情報になります。2次情報というのは他人が加工した情報です。わかりやすい反面、1次情報を加工したものですから、元からの情報から抜けていたり、まとめられたりしていることも多いのです。
情報発信者のポジショントークには要注意
そして、ポジショントークになっていることがほとんどです。情報の発信者は意図しているかどうかを問わず、自分の利益になるような話をするものです。
株を保有していればもっと上がってほしいという見込みで話すでしょうし、まだ保有していなければ、さがる見通しを話すでしょう。
投資家はあくまで一次情報にこだわるべき
これらの予断を排除するため、投資をする人は是非会社が公表する一次情報をさがしてください。これは、投資だけでなくこのネット社会全般に通じる原則のようなもので、ツイッター、フェイスブックなどのSNSを通じて現在ではデマをいくらでも拡散できる状況になっています。
集合知は正しいという経験則はその通りなのですが、どんな根拠に基づいてその情報が流布しているかを確認するのも時には大切でしょう。特に株式投資においてはそれが顕著です。
会社の公式情報などは、エンターテイメント性もありませんし、沢山の動画が上げられている訳ではありませんから、見る人が少ない。3桁、4桁程度の再生回数です。
会社の公式情報は正確かつ情報が幅広い
わかりにくいですが、一次情報は圧倒的に正確ですし、情報が幅広い。どんなに優秀なアナリスト、話をおもしろく提供するYoutuberでも、結局のリソースは一次情報です。それ以上の材料をもとに話しているのではありません(話しているとしたらインサイダー取引です)。
実践する人が意外に少ないので、投資家として他人と差をつけられる部分です。会社説明会と合わせて、会社の概要をつかんでみてください。
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