株式投資で初心者がおかしがちなミスの一つに、適切なタイミングを待てないということがあります。株式投資においては、どの銘柄を買うのかということと同じくらいいつ買うのかということも大切になります。
このページでは初心者が買い付けタイミングを待てずに失敗するケースと、どのように対応すればいいのかについて解説します。
株式を買い付ける前に待つのが大事
株式を購入するときには、自分の好きなものを買うときと同じように、頭から快感物質が出ています。頭の中では、株式を買い付けた瞬間株価の値上がりが始まり、すぐに株価が2倍、3倍に伸びていくイメージを持っているのです。起こり得る最高のシナリオだけを描くのが初心者なのです。
もちろん、これを今読んでいるあなたはとても冷静です。それが投資家の心理なのか、自分は違うと第三者的な視点でこの話を捉えているでしょう。
言うは易し、行うは難し
ところが人間は欲に弱い。私もそうですが、目の前にいかにも儲かりそうな話があると理性が引っ込み、本能的に飛びついてしまうものです。人の話をしているときには冷静なのに、自分の株式投資になると全く話が変わって冷静になれないのです。
好きな女性がいた時に、第三者視点で見れば、どうやってその女性をデートに誘えばいいのか、どのような話をすればいいのか、など気軽に口出しできますが、実際に自分がその立場になってみると緊張して自分の思っている通りに行動できないのと同じです。
株式投資で経験を積んでいくと、次第に自分が思った通りに株価がうごかないことが当たり前だと理解できるようになります。
自分の行動が外れることを前提として行動する
株価を変えることができないのですから、あとは自分の行動を変えるだけです。また、予想が外れるのは当たり前と思うようになります。もちろん長期的には上昇するという思惑を持って売買しているのですが、外れた時のことを想定しながら売買するようになります。
このように、株式投資が上達してくると、次第にどのタイミングで買えばいいのか、次第に冷静に判断できるようになります。
株式投資では買付タイミングが大事
普通の株式投資(現物株式)では、株式を購入してから、一定期間保有して、売却します。そして売却時の株価が購入時よりも高ければ利益が出ます。ですから、買い付けのタイミングで、不利なポジションを取らないようにすることが大切です。
不利なポジションとは、いわゆる高値掴みした場合です。またはポジションを動かすことができないほど多額の資金を一気に投下する場合も当てはまります。
高値掴みをしてしまうと、株価が一時的な調整をしたときに含み損を抱えてしまい、長く株価の下落局面で耐えなければなりません。
まだ分割売買できるほど余力を残していればいいのですが、そうでない場合には、あがってきたところでトントンで売却というケースが多いのです。
また、一度に決め打ちして株を大量に購入してしまうと、長期的に上がるとわかっていても目先の株価変動、特に下方への株価変動のタイミングで持ちきれないことがあります。
余力がある人とない人では、下落相場時の安心感が違う
買おうと思えば買えるとおもって相場に向かっている人と、追加の資金がなく祈るような気持ちで相場に向かっている人。同じ局面でも精神状態が違います。株式相場は残酷にも祈った人が我慢しきれずに投げ出してから反転します。
ですから、株式投資の初心者は、急騰時に最初のポジションを取るのを我慢しましょう。いそのほかのタイミング、下落局面、横ばい局面、緩やかな上昇局面では投資を避けます。もちろん、投資を検討するのは、その株式自体に悪材料が発生していないことを確認してからです。
こうしたタイミングでまず仕掛けるようにすれば、急騰局面で飛びついて損失を出す、という可能性はなくなります。
上級になってくれば、急騰局面でエントリーするのもいいでしょう。しかし、急騰局面で高値を取っていくところで戦うならば、機敏にポジションを変更するだけの技術がないとうまくいきません。上級者にカモにされて終わりです。
初心者のうちは売買技術がない(そして私も未だにない)でしょうから、急騰局面で買わず、株価の値動きが落ち着くところまで待って買うことをお勧めします。
エニグモの例
例えば、私も投資しているエニグモ(3665)の例を見てみましょう。同社の業績は手堅く推移しているのですが、株価の変動はそれなりに大きいです。
(SBI証券チャート)
移動平均線を大きく離れて、出来高を伴って上昇している局面ではいいニュースが出ていることが多いです。決算の数値がよかった、配当金を出す、新規ビジネス開始をアナウンスした、などのニュースです。こうした時にはつい買いたくなりますね。
しかし、この銘柄の場合、急騰することもあるけれどその勢いは続かず、一定期間が過ぎると下落に転じるという傾向があります。既に東証一部に上場してはいるものの、まだ東証マザーズ銘柄であるかのような値動きを繰り返しているのです。
こうした銘柄の特性を理解していれば、急騰局面ではなくその後しばらく株価が下落して変動率が少ないところで購入すれば少なくとも大けがはしないはずです。
さらに売買タイミングを分割しながら仕込んでいくと、今が底という自分の思い込みを排除しながら投資することができます。
まとめ
今回は、有利な展開になるまで、購入するタイミングを待つことが大事というお話をしました。初心者ほど、銘柄を調査した瞬間に購入し、また下落した時のことを想定していないポジションを取る傾向があります。
初心者は急騰局面ではなく、株価が落ち着いてきたところで仕掛ける方が失敗が少ないため、まずは下落局面、横ばい局面、緩やかな上昇局面のいずれかで投資することで最悪の事態を避けることができます。
次回は、上昇するまで待つことの重要性についてお話しします。
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