成長株投資

成長株投資のメリット・デメリット 

成長株投資が資産を倍増できる可能性がある投資法だということをこのサイトではご説明してきました。それでは、サラリーマンが資産を増やすためになぜ成長株投資を選択すべきなのでしょうか。このページでは、成長株のメリット・デメリットについて解説します。

成長株のメリット

私が考えるよい株式投資法とは、技術を習得すればその人の個性に頼らず実践可能な手法であるということです。どんなにすばらしい投資法でも、時間を研究や投資(トレーディング)に費やすことが必要な投資法は、多くの人が実行できるものではありません。以下、具体的に成長株のメリットを見ていきましょう。

誰でもできる

個人投資家の中には市場平均を上回る、ものすごい投資成績を残している人がいます。書籍を見ると3 年間で1億円といったすごいパフォーマンスを示している人もいます。

しかし、その手法は果たして自分でもマネできることなのでしょうか。銘柄をとことん分析して、信頼できる1、2銘柄に集中投資できる胆力がある人なら可能かもしれません。しかし、書籍で解説されている方法は、自分の環境でもできる方法、すなわち再現性がある手法でしょうか。

私は株式関係の著書を何冊も出版されている成長株テリーさんからお話を聞く機会をいただくことがありました。投資手法はテクニカルとファンダメンタルズを組み合わせた投資手法で、最後はやはり独特の売買センスがモノを言っている気がしました。つまり、その手法をマネできる人もいるが、できない人もいるという投資法です。

しかし、私の提唱する成長株投資は再現性が高い方法です。日中相場を見ることができない人でも、粘り強く長期間保有することで、数倍、時には数十倍のリターンをもたらす銘柄を探すことができる手法です。

実際に私も数銘柄テンバガーを保有していますが、結局やっていたことは周囲の雑音に負けず成長するまで保有し続けていただけです。

今後5年も待てば、今保有している株のうちいくつかは10 倍を超えるレベルまで成長してくれるはずです。この投資法なら、誰でも実践できるはずです。

税金の繰延効果が効く

中・長期の成長株投資では、利益確定のタイミングが遅くなります。企業の成長が確実に外部に現れるようになるのは3か月~半年では足りず、時によっては2年も3年も株価が横ばい、レンジ圏で推移することはよくあります。企業の成長により株価は次第に上昇していきますが、必ずしもその歩みが同一であるとは限りません。

さて、我慢した結果、株価が上昇したとしましょう。株価が値上がりすると含み益が生まれます。100 円で買った株が200 円になれば100 円の含み益が生じています。

個人投資家はこの含み益に課税されることはありません。利益を確定した瞬間に、約2割の納税義務が生じますが利益確定をしない限りは売買益には課税されません。

つまり、利益確定を最小限に抑えることで「複利効果」が働きます。投資した会社の価値が上昇して、株価が上がった。さらにその会社が利益を増やしてくれるので、資産の増加スピードが速い。

一方、利益確定すると、そのたびに源泉徴収税(所得税・住民税)が約20%取られてしまい複利効果が減少しますが、長期投資をすることで税金の支払いを将来の利益確定時まで繰り延べることができるのです。

投資のお金は最後に課税されるのが基本

税金の繰延効果が働くのは、株式・不動産・金・ビットコインなど投資全般に言えるルールです。労働者のお金は稼ぐ毎に必ず課税されますが、投資の利益は実現益になったときまで税金を支払う必要はありません(不動産は、保有しているだけで固定資産税等の税金が取られます)。

世界一の長期投資家であるウォーレン・バフェット氏が数十年にもわたる複利効果を利用して資産を増やしたことは有名です。

短期取引は、まさにこの複利効果を使わず、買った分だけ常に税金を支払いながら利益の獲得を目指していく投資手法です。短期的には株価の上下は50%づつの確率です。長期投資と比較すると税金の支払いという面で不利というのは事実です。

株式投資以外のことに時間を使える

成長株の中・長期投資は人生の効率がいいとも言えます。短期投資では、常に株価を見ながら投資のタイミングを探ることになるので相場から目が離せません。事前に指値をする、自動売買などの手法もありますが、それにしても日々の戦略を立てるのにそれ相応の時間が取られます。

頻繁に株式投資をしていると株価が気になります。株式投資は中毒性があるので、次第に売買しないと落ち着かなくなってしまうのです。もし本業の仕事ぶりに影響が出てしまうのであれば、短期売買は控えておきましょう。

いっぽう、長期投資であれば、そこまで日々の値動きに神経を張り詰める必要はありません。まったく勉強しないわけにはいきませんが、短期投資と比べて相場の時間に張り付いていなくてよい分、投資にかける時間が圧倒的に少ないというメリットは大きいです。

投資は豊かな人生を送るための手段であって、目的ではありません。個人的には将棋や囲碁と同じく知的なゲームで、どっぷりと株式投資の世界に浸かって取り組むのは最高の趣味だと思っていますが、誰しも投資に興味があるわけではありません。そこまで日中の株価チェックに時間を割けないという人は、中・長期投資が最適です。

今の仕事に役に立つ

個別株投資と投資信託の違いは、投資のことを自分で考えるか、他人に考えてもらうかの違いです。投資信託は、投資のことを丸ごと他人に考えてもらう投資法で、すべてお任せの状態です。ですから、基本的なこと以外は投資の知識が身につきません。

いっぽう、個別株投資では投資信託に比べて様々なことを勉強しなければなりません。市場動向、会社のビジネスモデル研究、財務諸表の読み方、資金管理、既存事業の環境・新規事業の動向など多くのことを学びます。

言い換えれば、個別株投資をして得られる知識は株式投資だけに役立つものではないのです。たとえば会計知識が身につけば、会社の仕事も一段上のマネジメントクラスから見ることができるようになります。

なぜ会社が給料を上げようとしないで、配当金を増やそうとしているのか。どうふるまえばいいのか。

また、儲かる会社がどういうものかわかれば、転職先を選ぶ観点が変わります。さらに、様々な業界の動向にも自然と詳しくなるので、社会人としての見識が広がり、人生全般に役立ちます。

ファンダメンタル分析を取り入れつつ株式投資をしている人と、そうでない人は同じものを見ていても見えている世界が全く違うのです。

子供に金銭教育を与えることができる

また、子供に対して金融教育をしてあげられるというのも大きなメリットです。自分が稼いだお金は相続税で持っていかれてしまいますが、いくら金融に関する知識を教えてあげても税金を取られることはありません。

投資で成功している人にとってはタネ銭を貯めて資産の増加速度を加速させ、一刻も早く経済的自由を手にすることの重要性をわかっていますが、これは後天的な能力です。

仮に親が経済的自由を獲得したとしても、子どもには一から教育しなければ資本主義というゲームのルールはわかりません。親は、資本家にとてつもなく有利なゲームであることをすこしずつ教えなければなりません。

子供にかぎらず、世の中の人は経済・金融の仕組みがわからず困っている人が大勢います。そうした基本的な知識を教えてあげるだけでも、とても感謝されることもあるのです。

勤め人のメリットを活かせる

個人投資家はプロのような情報収集能力はありません。資金も限られているでしょう。反面、プロにはマネができない個人投資家ならではのメリットもあるのです。成長株であれば、それらのメリットを活かしながら投資をすることができます。それは「税制優遇措置(NISA)」です。NISA は毎年設けられている枠の中で売買したものについては配当金と売買益を非課税にするという、個人投資家向けの優遇措置です。
私もNISA で投資をしています。次の表をご覧ください。ここまで約600 万円の含み益が出ていますが、本来であれば利益を確定した場合に120 万円程度の源泉徴収税がかかります。しかし、今売却したとしても税金は1円もかかりません。 たまたま個別株はすべて上がっていますが、途中で問題があると判断した銘柄(ディー・エル・イー〈3686〉、オークファン〈3674〉など)は損切りしています。

また、個人投資家は好きな銘柄を好きなときに、好きなだけ売買することができます。これは個人投資家にとってはごく当たり前のことに感じるかもしれませんが、投資規模が大きい機関投資家は売買に様々な制限が課されており、個人投資家のように柔軟に売買ができません。

それに機関投資家は、組織としての意思決定の範囲で投資しなければならないため、どんなに自分が有望だと思った銘柄でも買うことはできません。小型成長株を買えること自体メリットと言えるのです。

さらに、勝ち逃げできるというのも隠れたメリットでしょう。自分が満足のいく資産規模、たとえば2000 万円、3000 万円、5000万円まで増やしたら、あとは相場に参加しないという選択肢を取ることができるからです。機関投資家にはそれができません。

いついかなるときでも、そこにリスクを取ってでも資産を増やしたいという顧客がいる限り、彼らのためにリスクを取って投資しなければならないのですから。

成長株投資のデメリット

個人投資家が成長株投資をするメリットばかりではありません。当然成長株投資にもデメリットはあります。デメリットはメリットの裏返しです。

資産が増えれば価格変動が大きくなる

まずは、成長期待度合いが膨らむ、または縮むことに伴って株価が大きく上下するということです。さらに、ボラティリティが上がるほど精神的な負担が大きくなります。これは投資金額が増えてくると、どうしても付き合わなければならないことです。

私のような数千万円の金額でも、毎日100 万円単位でお金が動きます。桁が1つ大きくなり億の単位で資産運用するようになると1000 万円単位でお金が動くということです。つまり、平気で5 億円が4億円になり、6 億円に増えるという世界です。

もし暴落に巻き込まれると、下手すれば一生サラリーマンをやっても払い切れないぐらいの損失を被ることもあり得るということです。年収500万円の人が、1億円の価格下落にまきこまれたら、単純計算で20年働かないと取り返せない。あそこでやめておけば、1億円を減らさずに済んだのに、と自分の資産残高のピークから大きく下がること自体がストレスになってしまいます。

投資を続けていると資産はどんどん増えていきますから、いつかは自分のリミッターを超える金額まで投資金額が増えます。一流の投資家は、価格変動率だけをみて金額が大きくなっても淡々と取引できますが、二流投資家の私は資産の絶対額も気になります。この価格変動に耐えられない人は、ある程度の資産規模になったら株式投資を卒業することも大切です。

株価上昇まで耐えなければならない

次に株式投資は全般に言えることですが、いつ上昇するか誰にもわかりませんから、将来の成長を信じて成果が出なくても、一定期間投資を続けなければならないということです。

どんなに凄腕のファンドマネジャーでも、正確に株価が上昇するタイミングを当てることはできません。1年後のことすら予期せぬ出来事が起こるので、予測することが難しい。「そのうち、多分上がるでしょう」という程度のことしか言えないのが現状です。成功している長期投資家に聞いても、おそらくこのような返答しか返ってこないでしょう。

ですから、保有している銘柄が上がるまでじっと耐えなければなりません。中・長期の投資では、投資の時間の8割が退屈な時間であることは知っておいてください。

“含み益”を確定できない

最後に、一番つらいのが含み益の我慢です。含み損であれば人間耐えられるようになっていますが、含み益を我慢するのは大変つらいものです。

しかし、利益を確定したい欲求を抑えないとテンバガー(10バガー)は狙えません。10 バガーは「1.2 バガー1.5 バガー2 バガー 5 バガーそして10 バガー(最後の加速が激しいです)」のように、節目ごとに利益確定の売りを我慢しなければならないのです。

これに耐えられるかどうかは、“ 投資家脳” に切り替わっているかにかかっています。そして投資家の能力は後天的に身につけられるというのが私の持論で、継続して考え方を変えていけば、次第に頭が切り替わっていくものだと信じています。

まとめ

このページでは、成長株投資のメリット・デメリットについてご説明しました。誰でも正しい手順を踏んで投資すれば2倍、3倍になる株を見つけることができますし、時間的な余裕を持ちながら投資することができます。また、仕事に役立つ上に、子どもに金銭教育を施すことができます。

一方、含み益、価格変動に耐えながら目標資産規模まで資産を増やすことは、金銭的にストレスがかかることです。成長株投資をする場合、将来的に資産が増えればこのようなデメリットも生じるのだと認識して取引をしましょう。

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