成長株投資

一度注文したら指値は動かしてはいけない

株式投資で犯しがちな間違いの一つに、指値を動かすということがあります。事前に考えたプランにそって指値を出しているはずなのですが、株価の変動が気になって約定させることを優先させ、指値をより市場価格のほうに寄せてしまうのです。

しかし、中長期の株式投資をする上ではこうした指値の変更は、利益を減らす方向に働くうえ、規律ある取引ができなくなるためにおすすめできません。このページではその理由について解説します。

指値(さしね)注文と成行(なりゆき)注文とは

まず指値注文を動かす話に入る前にそもそも成行と指値の違いを見ていきましょう。株式投資の購入方法には、大きく分けて成行と指値があります。

成行注文とは

成行注文は今市場に出ている注文の中で一番自分に有利な注文と、自分の注文をマッチングさせるということです。今トヨタ自動車の株式を購入することを考えるとしましょう。だれがどれだけ売りの注文を出しているかが一覧になっているのが板(いた)です。

そのなかで、この8,387円という売り注文を買いに行くことが成行買いです。

この注文を取りに行くのが成行注文です。

指値注文とは

一方の指値というのは自分の好きな値段で価格設定をして購入する買い方です。トヨタ自動車の先ほどの例で言えば、今の取引気配にかかわらず8,385円で値段を指定しておきます。それ以下の値段にならないと約定(やくじょう)しません。

なお、前の夜に8,385円で注文を出しておき、次の朝から突然株価が大きく下落した値段で始まった時はその下がった値段で約定します。朝一番についた値段が8,000円ならば、指値を8,385円で出していても8,000円で約定します。

自分が出している価格より有利な価格で約定することは、英語で見ると理解しやすいですね。指値は英語でlimit price、すなわちこの値段までなら買っていいよという値段のことを言うからです。

指値を動かすと損をする

その話はさておきまして、今回は指値を動かすな、という話をします。指値というのは、まさに値段を指しているのですからこの値段で売買するというのをあらかじめ決めておくことです。今まさに動いている相場ではなく、少し離れた立場で冷静に出すのが指値注文です。

しかし、場中で相場を見ていると、なかなか自分の出した注文が成立しないでやきもきすることがあります。これが指値の癖ものです。

自分の出している値段で取引してもいいよ、という人が現れて初めて売買が成立する。ということは、いつ約定するかわからないのです。

決済注文の場合で考えてみる

例えば、ある株を保有しているとします。今の株価が950円。そこで1000円で売り注文を出す(指値を出している)ケースを考えましょう。これまでの株価動向、業績をみているとこの水準までは余裕をもって達するだろうという予測の上で1000円で指値をだすのです。

取引価格は買い圧力がつよまり時々970円、980円になるものの、そこで利益確定売りに押されたのか株価が下がって950円に戻っていってしまった。

もう一度株価が上昇してきたけれども、また上がらない。次第に約定しないことにあなたはストレスを感じ始めます。

「さっきから見ているけれども1,000円になかなか株価が上昇してこない。これはここが高値で、1,000円は今後しばらく到達しない水準なのではないか?そうだとしたら、1,000円という指値は高すぎるのではないか?」

という考えが頭をもたげてくるのです。そして、頭の中では売ることを第一にして、思考を組み立てるようになります。980円で売る値段を頭の中で考え始めるのです。そしてついに指値を1,000円から980円に修正します。

そこで売買が成立しないとさらに値段を下げていく。しかし、こうした修正は結果として利益を減らす行動につながっていることが多い。

そして売買が成立して数日後、株価はいつの間にか1,000円を超えて1,100円台で推移しているのを見てびっくりするやら、悲しがるやら、ということになります。

最初の指値は理性的

相場が動いていないところで出した指値は、相場の状況を踏まえて注文を出しているので冷静な指値です。先ほどの例でいえば、1,000円以上株価が行く可能性もあるけれども、この水準で利益を確定しておけばいいだろう、腹八分目、相場の頭と尻尾はくれてやれだ、という気持ちで設定した指値なのです。

指値を動かすのは欲の表れ

ところがその後場を見ながら、指値を動かしていった場合には当初のプランはどこへやら。今まさに動いている株価を追いかける短期投資になっているのです。こうなってしまっては感情に左右される取引になってしまいます。

最初に指値を出した理由をすっかり忘れてしまい、目の前の値動きを追いかけているのです。一度ならともかく、何度も指値を差しなおす人すらいます。

こうした投資行動はクセになります。次回以降もわかっているけれどもついつい同じことを繰り返してしまうのです。事前に株価が目標の値段に到達しない場合には指値を動かして処理をするということが頭の中にプランとしてあればまだいいのですが、大抵の場合そんなことは頭にありません。頼むから売買が成立してくれ、という考えでいっぱいです。

新規取引の時はさらにピンチに

先ほどの例は、手じまいのケースを想定してお話しました。手じまいの場合は、それで取引が完了しているわけですから、後悔はあったとしても利益が出ていればいいでしょう。損が出ても、それで取引が終了です。次に生かせばいいのです。

しかし、新規取引で欲に負けて指値を動かして、不利な値段で新しく取引を始めてしまうと、のちのちに響きます。

買ったものはいつかは売却、売ったものはいつかは買い戻さなければならないので、不利なポジションを抱えて相場に臨まなければならないからです。

例えば今株価が1050円で推移しているとします。あなたは1,000円で買いたいとする。そして、1000円で指値をだしたあと、どうにも1,000円まで下がってこない。

1,030円、1,020円と下がるがなかなか1,000円は割り込んでくれません。取引されている価格を見ると1,045円になっていました。今日は日経平均株価が全面高でこのまま下がることはなさそうな雰囲気です。

次第にしびれを切らして、今の値段付近、1040円に指値をし直します。そしてしばらくして無事約定しました。ところが、買ったところから数日後株価は下がっていき1,000円を割り込んでしまいました。あのまま数日間我慢していれば、1,000円で買えたのに。

問題なのはここからです。1,040円で買っていますから、40円の損が出ています。つまり不利な値段で取引してしまったわけで、その影響が長時間あなたの取引に影響を与えます。損失が多い状態で時間を過ごすことになります。

損失が出ている状態というのはあまり気持ちのいいものではありません。場合によっては、戻ってきたところで反対売買で手島王という気持ちにもなりかねません。

一度ぐらいなら問題ないだろうという考えもあるかもしれませんが、それがクセになるといつも同じように感情で取引をしてしまいかねません。

取引を始める時点で指値をいじっているようでは、恐らく長期投資を考えていても株価が少し動いたところでまた取引するものです。

スケベ指値はやめておこう

私は一度指値をしたあとに、相場の価格に寄せて指値を動かすことをスケベ指値と名付けました。スケベ指値は、すぐに取引をしたいという欲望を満たすために、利益の金額が減りがちです。

せっかく売買プランを持っていたとしても、事前計画なき取引にもつながりかねません。長期投資をしている人であれば、なるべくスケベ指値はやめたほうがいいでしょう。

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