成長株投資

成長株で2倍の利益を取るためには

成長株投資も長く持ち続けることは、意外にも難しいことです。株価は朝起きてみたら2倍になるのではなく、1.1倍→1.2倍→1.3倍・・・→2倍というプロセスを経て上昇していきます。その過程において、常に利益確定をしたいという気持ちにあらがって、利益を伸ばさなければならないからです。

そこでこのページでは、投資家の心理およびどのようにして利益を伸ばせばいいのかという点について解説します。

株価は上げ下げを繰り返しながら上昇する

株式の上昇過程において、一直線に株価が伸びるのはTOB(公開買い付け)の事例を除いてありません。通常は上がったり下がったりを繰り返しながら上昇していきます。どんな成長株であっても、銘柄のチャートでも必ず上げと下げの波動があります。

大化け銘柄エムスリー(2413)の例

一例としてエムスリー(2413)をご紹介しましょう。同社はマッキンゼー出身の谷村社長が創業された会社で2003年に東証マザーズに上場しています。その後も順調に事業領域を広げ業績も拡大しています 。M 3はもはや国内だけでなく世界中のお医者さんが使うメガプラットフォームになっています。このプラットフォームなしでは転職することや、医療関係者に必要な情報を得ることはむずかしいのです。

ここまで差がついてしまうと、後続の企業が追いつこうと思ってもなかなか追いつけるものでありません。インターネットの世界では同一市場で生き残る一社が圧倒的な強みを持ちます。

今や世界的なメガベンチャーとしての地位を確立した M 3ですが、 その株価動向は一貫して上昇し続けてきたというわけではありません。

2003年の登場以来2011年、12年までは株価は横ばいで推移してきました。もちろん多少上下に動いて落ちていましたが、2013年以降の株価上昇率と比べると 少ないことがお判りになるでしょう。今の価格から見ると 昔の株価変動が少ないように見えますが、当時の期間だけを切り取ってみると、当時の価格帯としてはそれなりに動いているのです。

2倍になるとまずは利益確定させたくなるのが普通

そして、価格が2倍になってくると売りたくなるのが人間の心理です。何度も同じようなレンジ圏で株価が推移しているのを見れば高いところで売って安いところで買いもどしたくなります。実際私もそのように取引しました。その結果は以下になります。

しかし、ある点で株価は成長性を織り込み始め、昔の株価を覚えている投資家を置いてきぼりにして上昇を始めます。こうなると高値で買いもどさざるを得なくなりますが、それがどれだけ難しいかは投資をしている方であればよくご存じのはずです。

どこか利益を確定したくなるのですから2003年から現在までに何十倍になったとしても、それを持ちつづけておくということは、なかなかできるようでできるものではありません。

大化け株を保有して利益を伸ばすには

では、どのようにしてこの大化け株を握り続けることができるのでしょうか。大切なことは、全ての大化け銘柄を最初から最後まで持ち続けるのは難しいという認識に立って投資をすべきだということです。

素人投資家なのですから、どれが最後まであがるのか、途中で下がる銘柄なのかを見分けることは難しいのです。成長株投資は株価が大きく調整することもありますから、いかに一時上昇しているとしても、下落のリスクを頭に入れながら投資する必要があります。

2倍になったら半分売却する作戦

まずポピュラーなのは2倍になったら半分売るという戦略です。これにより保有する株のコストをゼロにすることができますから、あとは成長株がどこまで上がっても安心して保有し続けることができます。

もちろん保有していた場合と比べますと、利益の絶対額は半額になってしまいますが、利益をある程度確保しておくことは大切です。すべての銘柄がエムスリーのように何倍にも大化けするのではなく、限られた銘柄だけが値上がりするものだからです。

つまり、成長株をどこかで利益確定しない場合には、含み益が大幅に減少して利益を取りそこなってしまうということがあるのです。

実際に私のケースではライザップホールディングスでこれを経験しました。同社がCMを大量に投下して認知度が高まっていた〇年に投資を開始。その後同社のM&A戦略が評価されて株価は急騰し始めます。一時は私が購入した価格の10倍まで上昇しましたが、その後株価は一気に下落して利益がなくなりました。

その際の取引履歴は以下になります。

(ライザップの長期チャート)

(売買の履歴)

増収増益基調が続く限りは保有する

すこしでも利益を確定しておいた方がいい一例として、ライザップホールディングスの例をあげましたが、そのほかには増収増益基調であることを確認し続けるという方法があります。

企業の株価は最終的にはどれだけ稼ぐことができたかという水準に左右されます。成長株の場合は今後もさらに企業業績が上向くだろうという期待が株価に乗っていますから、増収増益が続く間は株価が上昇していきます。

この増収増益基調が崩れない限りは保有し続けることで利益を増やすことができます。ただし、実際には増収増益基調が崩れて決算が悪化する場合には、事前にプロが売り始めていて決算が発表されたときには既に高値から株価が半分になってしまっているということもあります。

勢い良く成長している会社の株に投資する場合は、ある程度下落したところで損切りすることも事前に決めておいたほうがいいでしょう。例えば3割など下落したところで損切りする、などです。株価の上昇が決算が好調であることを暗示していることが多いように、下落が決算の悪化を暗示していることもあるのです。

会社の成長ストーリーにほれ込み過ぎてはいけない

成長株投資は常に魅力的な成長ストーリーを持っていますから、銘柄に惚れてしまうこともあるかもしれません。しかし投資家である以上、どこかで冷静な視点を持ち続けることは生き残っていく上で必須の条件です。

事業を創業したオーナーは、仕事自体が人生の生きがいであり、上場させるほどになればなおさらその想いは強いでしょう。会社がどのような苦境に陥ろうとも覚悟のうえで起業しているのです。もし会社が倒産しそうになれば、私財をなげうって助けようとするでしょうしその結果一文無しになる覚悟すらあります。

しかし、我々はあくまで外部の投資家です。会社が成長することを期待して投資しているのです。あくまで成長の過程を投資家として伴奏するという気持ちを持ち続けることが大切です。

まとめ

成長株投資では、一定のところで利益を確定させるというプランをもって売買する必要があります。すべての成長株が2倍、3倍と上がり続けるのではなく、おおむね途中で下落してしまうものだからです。

したがって、2倍になったら売却するというかたちで利益を確定させながらさらに利益を伸ばすという戦略をとる、または増収増益を確認しながら保有を続けるという戦略が有効です。

いずれにしても、銘柄の成長ストーリーにほれ込み過ぎることなく、冷静に企業の成長を見極めるようにしましょう。

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