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成長株投資のための四季報の読み方

『会社四季報』とは投資判断に必要な情報をコンパクトにまとめた情報誌です。会社四季報を読むことで、投資対象銘柄を見つける時間を省略することができます。そこで、ここでは、成長株投資のために最低でも押さえておきたい四季報の読み方についてご紹介します。

株式投資の情報をコンパクトに得られるという意味で、『会社四季報』は大変有用です。とくに有効なのは、正確な過去データをひと目で確認することができる点です。

四季報は見開きで4社の情報が記載されています。上下に2社左右2社の合計4社の情報が詰まっています。紙面が限られているため、各社についてすべての情報を載せることは到底できません。そこで重要な項目に絞って記載されています。

したがって、記載されている数字は、会社の経営状態を知るうえで最低おさえておくべき、大切な情報です。

四季報で大切なのはあくまで過去のデータだけ

注意すべきなのは、過去の数字と将来の予測は全く別物だということです。過去の数字は同社の編集が責任を持って記載していますから信頼できます。しかし、記者が書いた将来の予想はほとんど会社の業績予想で、何の責任もない数字です。

そもそも、来期の利益をどれだけ計上するかというのは経営陣の判断にかかっています。来期以降長期的な視野に基づいて積極投資をしようと思えば利益は減りますし、従業員の解雇を伴うリストラを行えば、特別損失が生じますから利益はやはり減ります。

逆に人員を積極的に採用しようと思っていたができなかった、または商談をウェブ会議に切り替えたため旅費交通費が減ったとなれば利益は増えるのです。短期的な決算数値は経営陣の思惑でいかにでも変わることを踏まえて、来期の決算予想を読むべきです。

予想はあくまで予想にしか過ぎない

それに、四季報を読めば投資先の将来がわかるという方もいらっしゃいますが、四季報の記者の予想確度が高いのであれば、その記者はペンを捨てて、借金してでも投資家になるべきです。それにもかかわらず、なぜ記者が何年も東洋経済で働いているのかという事実の意味を考えてみてもいいかも知れません。

さて、四季報の過去データは、有価証券報告書や四半期報告書から引っ張ってきたものですから省略版です。原典に当たるのが一番ですが、東京証券取引所には4000社弱もの会社が上場しているため、すべての銘柄について調べている時間はありません。

四季報で見るべきポイントは業績・特色・株主構成

そこで、まずは四季報の中で面白そうだなと思える銘柄を探し、ピックアップした銘柄についてさらに調べます。その際に私が気を付けているポイントは以下の通りです。

1.見るべきポイント欄・・・業績

まずは株式投資をするうえで大事な情報が【業績】です。見るべきポイントは、どれだけ製品・サービスを売って、どれだけ儲けたかです。儲ければ儲けるほど会社にはお金が入ってきますので、会社の価値が上がります。

成長株投資においては、売上高・営業利益・経常利益といった数字が年々増えていることが投資の条件です。企業が稼ぎ出したお金は配当金として払うことができるお金ですから、払い戻してもらえる金額が増えるという期待感から株価が上昇するからです。

もちろん逆もしかりです。会社が稼ぐ金額が減れば、配当金の原資が減ることが予想されますから株価は減少します。

2.見るべきポイント欄・・・特色

次に【特色】の欄を見ましょう。この欄を見ると、ひと目で何をやっている会社なのかがわかります。1行で会社の概要がわかりやすくまとめられているのはさすが四季報です。
どんな事業を展開しているのかを調べて銘柄を探すヒントになりますが、逆に投資対象に入らない銘柄(インフラ系など)を除外するという意味もあります。

この欄を見て少し面白いなと思ったら、会社のウェブサイトを訪問して詳しく調べてみます。この段階で企業の業務内容がわからなかったら無理に投資をしなくてもかまいません。所詮、一人の力は有限です。世の中のことをすべて知ることはできません。

仮にアフリカケニアに、情報通信関連でとんでもない大化け株と噂のある銘柄があったとします。しかしその銘柄に関する知識が全くなかったとして投資するでしょうか。投資することに二の足を踏むのが普通です。知力・財力が限られている2流投資家ならばなおさら、知っている分野、興味がある分野に絞って投資すればいいのです。

3.みるべきポイント欄・・・株主構成

株主構成は会社のパワーバランスを表しています。大株主に創業者の名前があると、その会社はオーナー企業の可能性が高いです。私はオーナー企業の株式に投資することを基本としていますので、投資対象と判断する意味で上位の株主構成は欠かせません。
また、機関投資家がどれだけ入っているかというのもチェックします。会社が成長してくると、次第に機関投資家のポートフォリオに組み込まれてきます。上場当初は経営陣や近しい人が上位に顔を連ねていますが、そのうち信託銀行やファンド名義での機関投資家株主が増えてきます。

時価総額が高い銘柄で株主上位に機関投資家が入っていない会社はありません。時価総額が大きくなるためには機関投資家の買い付けが不可欠なのです。

まとめ

成長株投資に挑戦するのであれば、限られた時間の中で投資に重要な情報をおさえる必要があります。この点、四季報を利用して有望な投資先の情報を知ることができます。特に今回ご紹介した、「業績」「特色」「株主構成」の3つは最低でも押さえることで要領よく投資先の特徴を捉えることができます。

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