投資コラム

楽天やオリックスの株が上がらないのはなぜか

 

誰もが知っている銘柄、楽天やオリックス。特に、楽天については、楽天経済圏が築き上げられており、生活のいたるところで消費者に接触するように仕掛けがほどこされています。

そして、使えば使うほど、楽天ポイントがたまりますので、数千円、人によっては一万円以上節約することができます。そこで、なるべく日々の決済を楽天カードに寄せてポイント生活をしている方も多いです。

しかし、消費者への抜群の知名度とは裏腹に、同社の株価は大きく上がりません。これは、多角化経営により、コングロマリットディスカウントという効果が働いているためです。事業の内容がわかりにくいために、投資家にとっては株価が上昇するストーリーが見えにくく、買いが入りづらいのです。

このページでは有名企業であっても、多角化が進んでしまうと、株価がさえなくなる理由について解説します。

人は、中身が分からないもののを買わない

株式投資をする場合に、あなたはどのような企業に投資するのでしょうか。雑誌でみた、有名投資家が推薦していた、株主優待がもらえるなど、理由は様々ですが、すくなくともその会社の事を多少わかったうえで、業績が上昇する(少なくとも安定している)というストーリーがあると信じるからこそ、株を購入します。

過去の決算動向、現在の事業について先行きが明るいと思うからこそ株を買うのです。

しかし、楽天やオリックスのように、多数の事業展開してる会社はどの事業が大きくなれば利益が出てくるのか、がとても分かりにくいです。

収益を生み出す複数の事業について、具体的に利益が出る構造を確認し、それぞれの見通しについて評価する必要がありますが、それを投資家が行うことは難易度が高いです。

そして、会社もおおまかな事業分野別の利益は開示してくれますが、すべての事業の内訳について、必ずしも詳細な説明をしてくれるわけではありません。

楽天の場合

楽天でみてみると、現在の収益構造は、インターネットサービス、フィンテックサービス、モバイルサービスの3本柱となっていますが、これらのサービスについてそれぞれ内容を把握しなければ株価が上昇するかどうかはわかりません。

かつて楽天はインターネット事業、すなわち楽天市場に経営リソースを集中的に投下していました。楽天市場に事業者を集めれば集めるほど、業績が向上するというわかりやすいビジネスモデルの会社だったのです。

環境に対応するために多角化した

しかし、いつしか楽天本体事業には、上限がみえてきました。いつまでも楽天に参加する事業者が増えるわけでもなく、アマゾン、ヤフーショッピングなどの競合他社も出現。また、無料でオープンできて、カスタマイズも自由なECサイトを作ることも日々簡単になっています。

楽天は、広告メルマガを打つ、アプリの追加機能を使うなど、何かするたびにお金をどんどん取られるので、それを嫌がる事業者も増えてきたのです。

こうした先細りを当然察知して、三木谷会長は次の事業分野に乗り出しています。それが投資事業であり、フィンテック事業であり、モバイル事業なのです。多角化はかわっていく事業環境に対応するための同社の進化といえるでしょう。

オリックスも変化に対応して業容を拡大してきた

オリックスについても、同様に社会構造の変化にあわせて、顧客のニーズを満たすサービスを次々と打ち出してきました。オリックスは、自ら、事業範囲は「オリックス」です」言い切るほど、多様な事業をしており、一口に何とはいいきれません。

以下は2020年3月期時点でのオリックスの事業分野別利益です。実際に様々な事業領域で利益を出していることがわかります。

 

リース、不動産、事業投資、金融、保険、レンタカー、環境エネルギーとざっとあげてみただけでも、あらゆる事業も展開していますから、投資家からすると、どの事業が伸びるから株価が上昇するというストーリーを描きにくいのです。

成長株はストーリーがわかりやすい

逆に、エニグモのようなわかりやすいビジネスモデルを出してみると、わかりやすいかもしれません。非日常の体験(スペシャリティマーケットプレース)型EC、BUYMA(バイマ)に特化した同社は、顧客数が増えれば増えるほど利益が増えていくことがわかります。

アクティブユーザーが伸びることで手数料が伸びるのですね。

ですから、同社に投資する場合には、会員獲得が順調か、会員一人当たりの利益が伸びているか、商品取扱の範囲は拡大しているか、を見ていければいいですし、個人投資家にもわかりやすいです。つまり、ストーリーが見えやすいのです。

以下はバイマを運営するエニグモの2021年1月期第三四半期決算(2020/12/15)からの抜粋です。

ご覧のとおり、年々、業績が右肩上がりだということがわかります。

業績と株価は短期では連動しない

もちろん、株価は、事業の成長に必ずしも歩調を合わせて上昇するわけではありません。事業の行き先への期待感が高まれば大きく上昇しますし、他の業界に焦点が当たっているような場面では、株価はあがらなくなりがちです。

しかし、少なくともオリックスに比べて業績の予想はしやすいということは言えるでしょう。

まとめ

会社が成長してくると、経営者は事業を多角化して安定的に利益を生み出す体制をつくろうとします。複数の事業から利益を得ることができれば、安心して新規事業に資金を投じることができるからです。

とはいえ、投資家からすると、会社がどのように成長するのかが見えにくいので、株価が割安に放置されてしまいがちなのです。株式投資家は、現在の業績もそうですが、将来伸びそうな会社をこのんで買うものなのです。

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