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サラリーマンは終身雇用のための保険料を払っている

大企業に入れば安定だーそんなことはないことはわかっていますが、不安であればあるほど相対的に安定的なものにすがってしまうのが人間心理です。

しかし、安定を皆が求めればもとめるほど、逆に日本のサラリーマンの給料はあがりにくくなります。このページではその理由を解説します。

サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ

かつて大企業のサラリーマンというのは、安定の象徴でした。バブル崩壊前は経済成長がずっと続いていましたから、会社の売上げは伸び、会社の規模も大きくなり、会社のポスト用意されていました。

結果として給料も毎年増えていたのです。何も難しいこと考えることなく、ひたすらに目の前の仕事に励めばよかったし、自然に物が売れる時代でした。

バブル崩壊後は常識が変わった

そうした幸せな時代が長らく続いたのち、バブルが崩壊して経済状況がかわりました。もはや拡大成長ではない、成熟社会に突入しています。会社の組織の在り方も変わっているのに現役世代の考え方は親の世代の考え方の影響を強くうけます。

親世代の考え方の影響は大きい

このご時世に就職活動をする新入社員でも、無意識に新卒で入った会社で定年まで勤めるという職業感は根強く残っています。大手企業・安定した会社を選ぶというのはその現れです。大手企業ならば人生安泰だろう、という小さいころから刷り込まれた潜在意識が影響しているのです。

教育熱心な家庭で育った子供は特に、小さいころから受験勉強で成績上位を取り、有名高校・有名大学に進むことが当然になっています。就職先もその延長線上で大手企業を選び、長く勤めることを無意識に選択してしまうのです。

しかし、コロナショックなど経済環境が激変する中で、企業は変化しなければ生き残るのが難しくなっている時代です。数年おきに想定もしなかった事件が発生して、そのたびに企業は生き残りの試練を与えます。

雇用は守られるが、給料が犠牲になる

こうした中で、日本の大企業は雇用を守りながら経営を続けることを求められています。確かに大手企業であれば、リストラされる可能性は相対的に少ないでしょう。入社時点の期待は守られます。

もちろん、従業員の雇用を守るというのは個人一人ひとりにとってみるとありがたい話です。

自分の身になってみれば容易に解雇されない環境で働きたいとおもうのは無理ありません。安定を何より求める人たちがそもそもサラリーマンになっているのですから当然です。

政府としても雇用を維持してほしいので、解雇規制・残業時間上限設定・残業代の支払いなど様々な労働関連法制を整備して企業に順守させます。

終身雇用では給料を抑えざるを得ない

しかし、経済環境が激変してても、柔軟に雇用慣行を変更できないことが前提となると、結果として、従業員の給料を低く抑えざるを得ないのです。

まず、年功序列賃金体系を維持し、かつ正社員は整理解雇しないという二つの条件を設定すると、年長者の給料を高くしなければなりませんから、若い人の給料を容易にあげることはできません。

年功序列の例

100人の正社員がいて、50代、40代、30代、20代がそれぞれ25人ずついます。人件費を全体で5億円とすると、50代の平均を600万、40代の平均を530万、30代の平均は470万、20代の平均が400万のように決まっていきます。

平均値は500万円ですが、そこから年功序列を考慮して上下に傾斜配分するのです。

トータルでは

50代は、25人×600=1億5、000万円

40代は、25人×530=1億3,250万円

30代は、25人×470=1億1,750万円

20代は、25人×400=1億円

このような例をだせば、若い人はなかなか給料をあげてもらうことができないことが感覚的にわかります。

不況時に備えて内部留保を厚く積む

さらに、不況時に従業員を整理解雇しなくて済むように、全社員の給料から少しずつ取り分けておいていざという時の積立にしておくのです。

本来であればあなたがもらえたかもしれない給料は、ダム貯水池のように内部留保という形で蓄えられ、不況で赤字になったときはそこから払い出されるのです。 

上記の例でいえば、毎年あと一人当たり50万円ずつ払う人件費として払う余力はあるけれど、赤字が出ても従業員のために支払わなければならないので、50×100=5,000万円を給料ではなく内部留保としておこう、という発想になります。

ですから、あなたがいかに優秀であったとしても、年功序列・終身雇用という生態系で生活している限り、目に見えない天引きで、いざという時のオプション料を払う義務があるのです。さらに、それはあなただけでなくて他人の雇用のための「積立金」を払わなければなりません。

更に企業はかせがなければならない

この足かせをはめられている上で、企業は毎年利益をあげなければなりません。さらに毎年、業績を昨年度よりも上げることが株主から求められています。業績が上がった一部を従業員に配分するものの、大きく給料が上がらない仕組みになっています。

こうした状況を理解して、ではどのように行動するか。すでにわかっているわけですから、豊かな生活をしたければ自分で行動するしかありません。

企業に勤めながらもできることはたくさんあります。副業・株式投資・転職のためのスキルアップなど、本業に加えて生き残るための方策を考え、実行することが生活を安定させるのです。

まとめ

我々が生活の保障を求めれば求めるほど、給料は上昇しにくくなります。赤字でもリストラをせず給料を払うためには、従業員へ支払う分を内部留保で貯めておかなければならないからです。

現在の職場で得られる給料に安住することなく、収入源を増やすまたは、持ち運べるスキルを身に着けるなどの努力をすることが生活の安定につながります。

 

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